恋戦配信終了間近!につき、10~20分で書きあげる短編を書いてみました!

2人目は義朝さんGO!
ヒロイン、颯太、ノリちゃんが源家に引き取られた少しあとのお話です。

にぶちん義朝さん。


***

ターン・・・
ターン・・・


弓の音が時折辺りに響く。
俺は弓矢の練習を行っていた。

源の長である自分が戦場で弓をつがえることは少ない。
戦況を知り、戦術を参謀と練ることが多いためだ。

けれども日夜の訓練は欠かすことなく行っていた。

―――と、

「瑠璃?」
「す、すみません。お邪魔してしまって」
「いや、お前であれば構わない。どうした?」
「あの・・・その・・・」

時折瑠璃はこのように歯切れの悪い話し方をする。
源の屋敷に来たばかりの頃はこのようなことはなかったのだが、ここ最近、一体何だというのだ。

「見ていてもいいですか?」
「何をだ」
「その、義朝さんの弓の練習を」

「それは構わないが」

そう言うと瑠璃は嬉しそうに笑い、礼の言葉を述べた。

「ありがとうございます」

瑠璃が見つめる中、俺は再び弓をつがえて的に向かう。

しかし

「(何だこれは)」

俺は自分の身体に起こる不思議な変化に気づいた。

まず弓と矢を持つ両手に先ほどまではない汗をかいていた。
射るべき的は先ほどよりも遠くに見え、
自分の鼓動も耳に大きく響いている。

「・・・何だ、これは」
「義朝さん?どうしましたか?」

「いや・・・。すまないが今日はこれで終わりにしよう」
「はい」

弓の稽古はそこで止め、2人で屋敷に戻り瑠璃と別れた。

そういえば颯太は医術の心得が多少あるらしい。

その日の夜、颯太を部屋に呼び自分の身体に起きたことを颯太に話すと、颯太は顔をこわばらせた。

「颯太、お前のその表情。俺の身体の変化に心当たりがあるようだな」
「いえ、その・・・」
「構わない。話してみろ」

俺がそう言うと颯太は迷っていたようだが口を開いた。

「・・・おそらく義朝さんは緊張していたのではないかと思います」
「緊張?なぜだ」

「・・・瑠璃が近くにいたからでしょう」
「俺は女が近くにいたからといって緊張することはない」

「いや、だから・・・女ではなく、瑠璃がいたからだと思います」
「瑠璃が俺に何かをしていたというのか?」

「そうではなくて・・・つまり義朝さんにとって瑠璃は・・・特別だということで」
「特別?俺にとっては後白河天皇以外の仕えるべき存在はいない」

「そういう特別じゃないですよ!その・・・好きってことじゃないですかね」
「隙?・・・たしかにそれはあるかもしれないな」
「・・・・・・っ!!」

「思えば初めて瑠璃に会ったときから、俺はそうだったのかもしれない」
「・・・そうですか」
「しかし、隙がこのような身体の変化を伴うとは・・・」

俺が考えていると、颯太はなぜかうなだれていた。

「颯太、辛そうだが大丈夫か」
「大丈夫じゃないです・・・。でも義朝さん」
「何だ」
「俺も瑠璃が好きです。・・・俺は諦めませんから」

颯太の瞳には今までにないほどの闘志が見てとれた。
この男、俺が思っていた以上に使える臣下になるやもしれない。

「颯太も瑠璃に対して隙があるのか」
「・・・はい」
「そうか。では互いに精進していこう」
「いくら義朝さんにお世話になっていても、この件については引きませんから!」
「俺もだ」

颯太がものすごい形相で俺を見つめている。
俺は良い男を手に入れたようだ。


と、そこへ俺の名前を呼ぶ女の声が聞こえ、御簾が上がり瑠璃がやってきた。

「義朝さん、あ、颯太も・・・」
「瑠璃」

俺は颯太と話していたこともあり、瑠璃に隙を見せないようにと居住まいを整えた。

しかし、なぜか手には汗がじんわりと出てきており、自分の鼓動が速くなる。

「(なんとも隙とは恐ろしいものだな。颯太に聞いていて正解だった)」



それから―――

俺はそれからも隙をなくそうと書物を読み、鍛錬に励んだ。

しかしおかしなことに瑠璃を見ると身体の変化がどんどん著しくなっていく。


その変化が恋というものだと知るのはそれからもっと先のこと。

そしてそれを教えてくれたのは瑠璃自身・・・ではなく、八雲からだった。



男である八雲から乙女心というものを叩きこまれたのだった。




義朝編・完




***


文字違いの勘違いって結構好きなネタです。

義朝さんの弓矢シーンはスチルもえらいかっこいいのだ!