八雲「さあ、お次はええっと、颯太の持ち物検査ね☆」
颯太「ああ。大したもんはねーけど」
颯太はごそごそと懐や袂から物を取り出し、乱れ箱の中に置いていく。
それは、メガネと聴診器、それと手ぬぐいだった。
瑠璃「メガネはたまにかけているもんね」
颯太「あぁ。本読むときとかさ。手ぬぐいは、目隠し用」
瑠璃「目隠し?」
颯太「えっと・・・その」
颯太は口ごもった。
戦の場面では多くの敵味方が入り混じることから視界が悪いことも多い。
弓の使い手である颯太はそれを想定して、ときおり手ぬぐいを使って自分に目隠しをし、弓で的に射るなどしていた。
片目を隠したり、両目を隠したり、はたまたうっすらと的が見えるようにしたり・・・
颯太は隠れて努力をしていた。
颯太「・・・弓の、練習にさ」
義朝「ほう」
颯太の話す意味を知り、義朝が声をあげる。
颯太が義朝を見ると、義朝は口元に笑みを浮かべていた。
はっきりとねぎらわられたわけではないが、それでも颯太は嬉しかった。
清盛「これはなんだ?」
聴診器をぷらぷらとさせて清盛が言う。
八雲「聴診器?よね」
八雲が尋ねると、颯太がこくりと頷いた。
颯太「ああ。聴診器。・・・前のところに居た時のを持って来たんだ」
前のところ、
それは現代であった。
けれども、皆の前で大っぴらに現代の話しはできなかった。
瑠璃「颯太はなんで聴診器を持っているの?」
颯太「その、瑠璃とノリちゃん同じ会社に入る前は、聴診器を使うことをしていたっていうか・・・」
颯太は自分が大病院の院長の息子であり、本来であれば跡取りであるとは誰にも話していなかった。
八雲「颯太・・・あんたって・・・」
颯太「俺、詳しく話してなかったよな」
颯太は笑いながら前髪をかきあげた。
その仕草はやけに艶やかで色っぽい。
隣で見ていた瑠璃は思わず息を飲んだ。
金色にも近い長い髪は、派手な顔立ちにとてもよく似合っている。
颯太が動くとそれに合わせて耳のピアスが揺れた。
このような風貌である颯太が実は真面目な男であり、大病院の跡取りとは誰も思わないだろう。
颯太「実は俺」
八雲「ううん、いいのよ大丈夫」
颯太が自分の家について話そうとすると、八雲はそれを遮るかのように、両手を颯太に見せながら振った。
颯太「え?」
言われた言葉の意味が分からず、颯太は首を傾げた。
八雲「誰しも 内緒の趣味はあるものだからね☆」
趣味!?
颯太「いやいやいや!これは 趣味とかじゃなくって!!」
八雲「 あっ!!!!!」
八雲がハッとした顔をして、颯太に大きな声で言う。
八雲「手ぬぐいの目隠しも、そう言う趣味の時にも使うのかしら!?」
颯太「はあ!?」
あっけにとられた颯太。横にいる家盛が口を開く。
家盛「さきほどから八雲さんの言っている、颯太さんの趣味とは何だろうか」
家盛が真面目な顔で言えば、
颯太「いや、趣味じゃねーし!!」
颯太が慌てて否定する。
八雲「家盛さんには少し刺激が強いかもしれないわ・・・どうしたらいいかしら」
八雲は腕を組んでうーんと唸った。
颯太「やめてくれよノリちゃん!皆さん、ぜーんぶ、ノリちゃんの勘違いですから!!」
颯太は大きな声で否定の言葉口にするが、焦る様がまた疑わしい。
義朝が真顔になり、颯太を見る。
義朝「弓の稽古ではないのか!?」
颯太「よ、義朝さんまで!違いますよ!!布はたしかに目隠し用だけれども!!」
そこまで颯太が叫んだ際、隣の瑠璃がぽつりとつぶやいた。
瑠璃「目隠し用、ね」
そして颯太が瑠璃を見ると、
瑠璃「・・・・・・。」
凍りつくような視線で瑠璃は颯太を見ていた。
颯太はその凍てつくような目を直視し、寒気が走る。
颯太「ご、誤解だ!俺さ、医者の卵なんだよ!!」
八雲「ううーん。お医者さんゴッコ、でいいのかしら?」
颯太「ゴッコじゃねえし!!」
目をつぶり、両手に握りこぶしを作って 天を仰ぎながら叫ぶ颯太に、後白河が声をかけた。
後白河「それはいいとして、で、一体どういう風に使うんだ?」
颯太「え?」
我に返った颯太が涙目で後白河を見る。
後白河は聴診器をゆびでつまんで、ぷらぷらと揺らしていた。
清盛「銚子?だっけか」
颯太「あ、聴診器、です。これは・・・」
颯太「(そうだ!!!!ここでちゃんとした使い方を見せれば瑠璃だって信じるはず!!)」
義朝よりも、八雲よりも、家盛よりも、とにかく瑠璃の誤解を解く為に颯太は必死だった。
颯太「これは、こっち側を耳にかけて、ここを持って、こう・・・」
清盛「へーえ」
聴診器のイヤーピースを正しい方向で耳にかけ、隣にいた瑠璃を見ると、目を丸くした瑠璃が颯太を見ていた。
その目は疑いの目から、信用の目に変わって来ている様に見えた。
瑠璃「颯太、本当に・・・」
清盛「・・・・・・。」
颯太「(ほら、俺、医者っぽいだろ!?)」
颯太「瑠璃、ちょっと、胸貸してな」
瑠璃「え!?やだよ」
聴診器と手ぬぐいの誤解を払拭しきれていない瑠璃はすぐさま拒否をした。
けれども、聴診器をつけていると、聴診器を経由する他では外界の音を聞き取りづらい。
瑠璃の言葉を聞きそびれた颯太は、そのままベルを着物ごしに瑠璃の胸に当てようとする。
ベルが瑠璃の着物に触れるか触れないかのところで、
清盛「颯太!!」
瑠璃「・・・あっ!!」
瑠璃は清盛の右腕によって清盛の胸に抱き寄せられていた。
そして清盛が左腕でベルをはたいた。
ボガッッッ!!!!!
颯太「 んがっっっ!!」
颯太は畳の上に倒れ、耳を押さえて悶えた。
颯太「 耳がっ!耳がぁ!!」
聴診器は胸の音をよくよく聞く為のもの。
そんな聴診器のベル部分を清盛がはたいたために、その衝撃がそのまま聴診器を通して耳へと伝ってしまったのだった。
清盛「颯太・・・お前・・・」
清盛の目がギラリと光る。
その眼光はまるで戦場にいるかのようでもあり・・・。
八雲「(なんか、清盛さんたら)」
義朝「(この部屋に来てからどうも落ち着きがないな)」
家盛「(兄貴、どうしたんだ・・・?)」
後白河「清盛、さっさと瑠璃を離せ」
持ち物検査が始まってから少しずつ、清盛の様子がおかしかった。
それは皆がうっすらと気付き始めており・・・。
清盛の腕から解き放たれた瑠璃は立ち上がり、悶える颯太を見下ろしながら自分の両肩を抱く。
瑠璃「や、やっぱり颯太、そういう趣味で・・・」
颯太「ち、ちがう!!」
完全に誤解をされた颯太であったが、それでも必死で無実を言う。
誰に誤解されていても、瑠璃にだけは信じていて欲しい。
その表れであった。
しかし、
瑠璃「何で私で試すのよ!隣にいる家盛さんでもいいでしょう?」
颯太「そ、それもそうだけど・・・」
医師の場合、聴診器で聞くのは胸の音。
心臓であったり肺であったり、はたまたお腹の音。
その際、そこに集中するために、男女のことなど考えないことの方が常であった。
瑠璃にだけは分かってもらいたい表れが、瑠璃に聴診器をあてるという行為につながってしまったのだった。
しかし瑠璃には分からない。
しかも
後白河「銚子とは、胸にあてるのか」
八雲「本来は素肌にあてるのよ」
清盛「・・・・・・(睨)」
義朝「颯太はそういう道具を使うのか」
家盛「・・・っ/////」
颯太「 ~~~~っ!!
誤解だーーー!!」
颯太の声は部屋中に響き、その声は宿の外 、遠いところまで聞こえたという。
***
颯太ネタって、何にもないよ・・・
今回の温泉ネタに連れてくるんじゃなかった・・・
と思っていたところ、そういえば医者だったっけと思い出して聴診器ネタにしてみました(笑)
本編じゃ聴診器なんざ持ってきていないかもしれなかったけど、まあ、現代から持ってきていた鞄内にあったということで(笑)
さて、最後は家盛さん~。
何を持たせよう・・・(え、そこから!?)
颯太「ああ。大したもんはねーけど」
颯太はごそごそと懐や袂から物を取り出し、乱れ箱の中に置いていく。
それは、メガネと聴診器、それと手ぬぐいだった。
瑠璃「メガネはたまにかけているもんね」
颯太「あぁ。本読むときとかさ。手ぬぐいは、目隠し用」
瑠璃「目隠し?」
颯太「えっと・・・その」
颯太は口ごもった。
戦の場面では多くの敵味方が入り混じることから視界が悪いことも多い。
弓の使い手である颯太はそれを想定して、ときおり手ぬぐいを使って自分に目隠しをし、弓で的に射るなどしていた。
片目を隠したり、両目を隠したり、はたまたうっすらと的が見えるようにしたり・・・
颯太は隠れて努力をしていた。
颯太「・・・弓の、練習にさ」
義朝「ほう」
颯太の話す意味を知り、義朝が声をあげる。
颯太が義朝を見ると、義朝は口元に笑みを浮かべていた。
はっきりとねぎらわられたわけではないが、それでも颯太は嬉しかった。
清盛「これはなんだ?」
聴診器をぷらぷらとさせて清盛が言う。
八雲「聴診器?よね」
八雲が尋ねると、颯太がこくりと頷いた。
颯太「ああ。聴診器。・・・前のところに居た時のを持って来たんだ」
前のところ、
それは現代であった。
けれども、皆の前で大っぴらに現代の話しはできなかった。
瑠璃「颯太はなんで聴診器を持っているの?」
颯太「その、瑠璃とノリちゃん同じ会社に入る前は、聴診器を使うことをしていたっていうか・・・」
颯太は自分が大病院の院長の息子であり、本来であれば跡取りであるとは誰にも話していなかった。
八雲「颯太・・・あんたって・・・」
颯太「俺、詳しく話してなかったよな」
颯太は笑いながら前髪をかきあげた。
その仕草はやけに艶やかで色っぽい。
隣で見ていた瑠璃は思わず息を飲んだ。
金色にも近い長い髪は、派手な顔立ちにとてもよく似合っている。
颯太が動くとそれに合わせて耳のピアスが揺れた。
このような風貌である颯太が実は真面目な男であり、大病院の跡取りとは誰も思わないだろう。
颯太「実は俺」
八雲「ううん、いいのよ大丈夫」
颯太が自分の家について話そうとすると、八雲はそれを遮るかのように、両手を颯太に見せながら振った。
颯太「え?」
言われた言葉の意味が分からず、颯太は首を傾げた。
八雲「誰しも 内緒の趣味はあるものだからね☆」
趣味!?
颯太「いやいやいや!これは 趣味とかじゃなくって!!」
八雲「 あっ!!!!!」
八雲がハッとした顔をして、颯太に大きな声で言う。
八雲「手ぬぐいの目隠しも、そう言う趣味の時にも使うのかしら!?」
颯太「はあ!?」
あっけにとられた颯太。横にいる家盛が口を開く。
家盛「さきほどから八雲さんの言っている、颯太さんの趣味とは何だろうか」
家盛が真面目な顔で言えば、
颯太「いや、趣味じゃねーし!!」
颯太が慌てて否定する。
八雲「家盛さんには少し刺激が強いかもしれないわ・・・どうしたらいいかしら」
八雲は腕を組んでうーんと唸った。
颯太「やめてくれよノリちゃん!皆さん、ぜーんぶ、ノリちゃんの勘違いですから!!」
颯太は大きな声で否定の言葉口にするが、焦る様がまた疑わしい。
義朝が真顔になり、颯太を見る。
義朝「弓の稽古ではないのか!?」
颯太「よ、義朝さんまで!違いますよ!!布はたしかに目隠し用だけれども!!」
そこまで颯太が叫んだ際、隣の瑠璃がぽつりとつぶやいた。
瑠璃「目隠し用、ね」
そして颯太が瑠璃を見ると、
瑠璃「・・・・・・。」
凍りつくような視線で瑠璃は颯太を見ていた。
颯太はその凍てつくような目を直視し、寒気が走る。
颯太「ご、誤解だ!俺さ、医者の卵なんだよ!!」
八雲「ううーん。お医者さんゴッコ、でいいのかしら?」
颯太「ゴッコじゃねえし!!」
目をつぶり、両手に握りこぶしを作って 天を仰ぎながら叫ぶ颯太に、後白河が声をかけた。
後白河「それはいいとして、で、一体どういう風に使うんだ?」
颯太「え?」
我に返った颯太が涙目で後白河を見る。
後白河は聴診器をゆびでつまんで、ぷらぷらと揺らしていた。
清盛「銚子?だっけか」
颯太「あ、聴診器、です。これは・・・」
颯太「(そうだ!!!!ここでちゃんとした使い方を見せれば瑠璃だって信じるはず!!)」
義朝よりも、八雲よりも、家盛よりも、とにかく瑠璃の誤解を解く為に颯太は必死だった。
颯太「これは、こっち側を耳にかけて、ここを持って、こう・・・」
清盛「へーえ」
聴診器のイヤーピースを正しい方向で耳にかけ、隣にいた瑠璃を見ると、目を丸くした瑠璃が颯太を見ていた。
その目は疑いの目から、信用の目に変わって来ている様に見えた。
瑠璃「颯太、本当に・・・」
清盛「・・・・・・。」
颯太「(ほら、俺、医者っぽいだろ!?)」
颯太「瑠璃、ちょっと、胸貸してな」
瑠璃「え!?やだよ」
聴診器と手ぬぐいの誤解を払拭しきれていない瑠璃はすぐさま拒否をした。
けれども、聴診器をつけていると、聴診器を経由する他では外界の音を聞き取りづらい。
瑠璃の言葉を聞きそびれた颯太は、そのままベルを着物ごしに瑠璃の胸に当てようとする。
ベルが瑠璃の着物に触れるか触れないかのところで、
清盛「颯太!!」
瑠璃「・・・あっ!!」
瑠璃は清盛の右腕によって清盛の胸に抱き寄せられていた。
そして清盛が左腕でベルをはたいた。
ボガッッッ!!!!!
颯太「 んがっっっ!!」
颯太は畳の上に倒れ、耳を押さえて悶えた。
颯太「 耳がっ!耳がぁ!!」
聴診器は胸の音をよくよく聞く為のもの。
そんな聴診器のベル部分を清盛がはたいたために、その衝撃がそのまま聴診器を通して耳へと伝ってしまったのだった。
清盛「颯太・・・お前・・・」
清盛の目がギラリと光る。
その眼光はまるで戦場にいるかのようでもあり・・・。
八雲「(なんか、清盛さんたら)」
義朝「(この部屋に来てからどうも落ち着きがないな)」
家盛「(兄貴、どうしたんだ・・・?)」
後白河「清盛、さっさと瑠璃を離せ」
持ち物検査が始まってから少しずつ、清盛の様子がおかしかった。
それは皆がうっすらと気付き始めており・・・。
清盛の腕から解き放たれた瑠璃は立ち上がり、悶える颯太を見下ろしながら自分の両肩を抱く。
瑠璃「や、やっぱり颯太、そういう趣味で・・・」
颯太「ち、ちがう!!」
完全に誤解をされた颯太であったが、それでも必死で無実を言う。
誰に誤解されていても、瑠璃にだけは信じていて欲しい。
その表れであった。
しかし、
瑠璃「何で私で試すのよ!隣にいる家盛さんでもいいでしょう?」
颯太「そ、それもそうだけど・・・」
医師の場合、聴診器で聞くのは胸の音。
心臓であったり肺であったり、はたまたお腹の音。
その際、そこに集中するために、男女のことなど考えないことの方が常であった。
瑠璃にだけは分かってもらいたい表れが、瑠璃に聴診器をあてるという行為につながってしまったのだった。
しかし瑠璃には分からない。
しかも
後白河「銚子とは、胸にあてるのか」
八雲「本来は素肌にあてるのよ」
清盛「・・・・・・(睨)」
義朝「颯太はそういう道具を使うのか」
家盛「・・・っ/////」
颯太「 ~~~~っ!!
誤解だーーー!!」
颯太の声は部屋中に響き、その声は宿の外 、遠いところまで聞こえたという。
***
颯太ネタって、何にもないよ・・・
今回の温泉ネタに連れてくるんじゃなかった・・・
と思っていたところ、そういえば医者だったっけと思い出して聴診器ネタにしてみました(笑)
本編じゃ聴診器なんざ持ってきていないかもしれなかったけど、まあ、現代から持ってきていた鞄内にあったということで(笑)
さて、最後は家盛さん~。
何を持たせよう・・・(え、そこから!?)