駒尺喜美さんの本を3冊読了![]()
駒尺喜美さんは
近代文学や女性学の研究者で
元法政大学教授。
女性のための空間つくりや
中高年向き共同住宅などにも取り組まれ
2007年にお亡くなりになられました。
1冊目
漱石を愛したフェミニスト 駒尺喜美という人
著:田中 喜美子
https://honto.jp/netstore/pd-book_03195135.html
こちらは駒尺喜美さんの評伝。
駒尺さんがどんな方で
どんな生涯だったかが分かる1冊です。
結婚する友人への「お祝い」の手紙に
「掃除するな、洗濯するな、飯炊きするな」
とあったというのには笑ってしまいました😂
これだけで
この方のことを好きになります。
2冊目
魔女の論理 (増補改訂版)
著:駒尺 喜美
こちらは
駒尺喜美さんの代表作ともいえる本で
森鴎外や高村光太郎、永井荷風など
女性の視点から批評をすることで
当時の知識人や文士の欺瞞を
ぶった切っていくところが実に痛快でした。
1冊目の題名に『漱石を愛した』とあり
なぜ?と思っていたのですが
近代文学者である駒尺さんの
漱石の評価を読んで納得。
漱石は妻に対してDVもしていたし
(昔は普通のこととして許されていました)
明治時代のエリートなので
男尊女卑思想も当然あるのですが
妻と分かり合えないのは
夫という【構造的抑圧者】である自分の側に責任がある
ということに気付き、
自分の内臓をえぐり出すかのように
のたうち回りながら
それと対峙したというのです。
そして、エロスとは肉体だけでなく
そういった全人格をぶつけあったところにあるという
駒尺喜美さんの考えにも共感でした。
3冊目
漱石という人 吾輩は吾輩である
著:駒尺喜美
こちらは駒尺さんによる
まるまる漱石批評の1冊。
前の2冊から
漱石についてもっと知りたくなって
こちらも読んでみました。
漱石が自分は
夫という構造的抑圧者であることに気付いた
ということは前に書いた通りですが、
当時ではあり得なかった
自分(男)のエゴと妻(女)のエゴとを
同等のものとして捉えようとしたことから発展し
最後にはかの有名な【則天去私】の境地に
至ったということ。
これによって漱石は
他者の内部を自分の内部と同等に
受け取る道をつかみ、
最後の作品『明暗』では
様々な階層や立場の人のエゴを
見事なまでに描ききるという極みに
到達したということです。
漱石は”女々しい”
という声が少なくないということですが、
それは漱石がまさに
女の立場に下りたからなわけであって
それこそが漱石の偉大なところなのだと。
また、
晩年の作品は初期の作品と比べて
人気があまりないということでしたが、
こういったことが作品に現れ始めた
晩年の作品こそ
平等主義者夏目漱石の真骨頂であるのだとも。
漱石は封建社会を否定し
自己本位/個人主義の立場を取りましたが
そこに存在する矛盾にも向き合いました。
エゴとエゴのぶつかりにより
人とのつながりがなくなることを
どう回避するのか
さらには
自己本位にもとづくモラルなど
現代社会にも、いや現代社会にこそ
学ぶところが多いと感じましたし
私も学びました。
★★★
来年は夏目漱石の本を
何冊かぜひ読んでみようと思いました![]()
駒尺喜美さん、大好きになりました!
おもしろかった!