柚木麻子さん著

『らんたん』を読み

この時代の女性に

すっかり魅了されてしまい、

今年はこの時代の女性たちの本を

色々読もうと思いさっそく♪

 

 

おんな二代の記

著:山川菊栄

 

 

『らんたん』で

かっこよかった山川菊栄本人が書いた

母親と本人の女二代についての

自叙伝です。

 

 

 

母千世(ちせ)については

色々驚くことが多かったです。

 

 

母千世は元々は水戸藩の出で

身分もけっこう高い家柄。

 

しかし幕末の水戸の内乱で

千世の父(菊栄の祖父)は

維新後まで蟄居の身に。

 

 

蟄居が解かれた後

東京に行った父のもとに千世も行き

学問をおさめます。

 

千世の父の一門は

代々学問に携わっていたということで

千世も大いに学ばせてもらえたのでしょう。

 

 

千世は

お茶の水の最初の入学生となりますが

首席での入学であったなど

非常に優秀だった様子。

 

山川菊栄の

「現代の人ですか?」と聞きたくなるような

時代の先をいくキレキレ具合は

この流れを汲んでいたのかぁと納得でした。

 

 

 

また、

『らんたん』にも出ていた

矯風会の創設者矢島楫子が

初めて聖書を目にしたのは

千世が持っていたものだった

という繋がりにも驚きました。

 

 

この人は『らんたん』で

どう書かれていたっけ?と

『らんたん』と読み比べながら

読み進めるのも楽しかったです。

 

 

 

そして

明治になってせっかく開かれた女子教育が

悲しくも次第に

良妻賢母教育によっていっく様子も

みてとれました。

 

 

 

 

山川菊栄本人については、

こちらの本においても

『らんたん』の主人公である河井道を

批判的に書いており

おもしろかったです。

 

『らんたん』の参考文献に

こちらの本も入っているので

このあたりのエピソードが

影響したのでしょうかね。

 

 

 

また、戦後

労働省の初代婦人少年局長になっただけあり

早くから現代にも通じる

女性の労働問題提起をしていることなどに

明晰さの際立ちを感じます。

 

 

社会運動は

理不尽や不平等を正すもののはずなのに

あらゆる社会運動の中で

女性差別は必ず入り込んでいる

とよく言います。

 

山川菊栄らの

反帝国主義の運動の中でも

女性の問題はないがしろにされ

真剣に議論されていなかったことが

よく分かりました。

 

 

菊栄は

戦後に4年近く務めた

労働省の婦人少年局長以外は

在野での活動であったとのこと。

 

 

本には書いていないですが

後ほどちらっと調べたところによると、

男たちから

『婦人少年局なんていらない』

みたいなことになって

辞任をしたようですガーン

 

 

男たちをやり込めていたようでもあり、

こうして

男の既得権益やホモソーシャルな世界を

おびやかす存在として

女性の問題はないがしろにされ

優秀な女性が

組織から追い出されたのですね・・・

 

 

現代もそういう構造や

女性の労働問題のないがしろな状況は

続いているわけで、

わきまえることが

無意識にしろ女性の”生存戦略”だと

理解はできますが、

わきまえないことが

本当の意味での生存に

繋がるわけなので

踏ん張っていきたいと改めて思うのでした。

 

 

 

本は敗戦後すぐの辺りで

終わっていますが

戦後の菊栄について書かれたものも

いつか読んでみたいと思いましたニコニコ

 

 

 

 

『らんたん』

本当におもしろい!