南からの湿っぽい空気のかたまりが、吹き上げてくる。
夏日 到来。
アジアモンスーンの香りが、植物たちに降り注ぐ。
先週までの、どこか乾いた冷たい風は 北へと帰ってゆく。
ツバメが 湿った風を捲いて 電柱を横切る。
夏が、
はじまる。
『青嵐』
風がふくと、
生まれたての葉っぱが いっせいにゆれる。
白くひかりながら、葉っぱと葉っぱが、こすれあって、
しゃらしゃらとすべるような音。
水のような音。
ひかりが絹のドレスをひるがえすような音。
●青嵐
四月でも、夏のように感じる日。
次の季節をのぞき見。さわやかに青葉をゆらして吹く南風は「青嵐」。
桜はもう、葉桜。新緑はぐんぐん、ぐんぐん。みどりの風は いいにおいです。
奈良の室生寺で シャクナゲが もう見ごろ。ふわふわと薄紅色のシャクナゲと葉桜。
長谷寺では、ひかるような牡丹。小さいとき おじいちゃんにつれていってもらったな。
(『ひらがな暦』おーなり由子/新潮社 より)

