私はとうとう殺した。

 

必死だった。

 

相手も必死だった。

 

殺るか、見逃がすかの二者択一。

 

見逃したほうがラクなことは承知だ。

 

だが、再会したらどうなるのかと考えると、今しかないと思えた。

 

これは、決して簡単に済まされることではない。

 

1つの命がかかっているからだ。

 

おとなしく命を差し出すはずもなく、逃れるためなら、どんなことでもするだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭上に響く羽音……

 

何かがいるという気配……

 

部屋の上部を見渡してみると、真っ白な天井に黒光るアイツLが滝汗

 

きゃーーーー!!

 

思わず叫び、部屋を飛び出した。

 

しかし、このまま見逃していいはずがない。

 

高鳴る心臓……

 

見開いた瞳……

 

茫然と対峙する敵……

 

冷静になれビックリマーク お前(自分)なら殺れるアップ 殺れ!!

 

そんな心の声が聞こえた。

 

だが、私は丸腰だ滝汗

 

殺虫剤は蚊取り線香しかなく、敵は天井だ。

 

トレーニング用のボールをぶつけるか!?

 

いや、そんなことをしたら、ボールがバウンドして敵を見失うかもしれない。

 

殺虫剤ではなくても、殺虫剤のふりをして他のスプレーをかければ、抑止力になり、うまくいけば動きを封じて、落下させることができるのではひらめき電球

 

キッチンから持ち込んだ除菌スプレーを噴射……届かない!!

 

さらに持ち込んだヒーリングスプレー……届かない無駄な癒し!?

 

さらに持ち込んだ消臭除菌スプレー……届いたビックリマーク

 

目論み通り落下(飛び降りた?)して大慌てする敵だが、このあと、どんな手段で息の根を止めればいいのだろうはてなマーク

 

右往左往する中、新聞紙を手にした。

 

ロール状にして叩くが、湿気でパワーが小さい……ゲロー

 

でもこれしかない。生きて帰すわけにはいかないのだ真顔

 

新聞連打で敵の動きが止まった。


ヘッドショットが決まったのだニヒヒ

 

外出予定があるから、このまま出掛けよう。


そう思って身支度をはじめるが、本当にそれでいいのかどうか……

 

殺したはずが気絶しているだけで、帰ってきたら死体がなかったらどうするのかチーン

 

これは、サスペンスやホラー映画でありがちなミステイクだ。

 

やっとの思いで殺害したところで安堵し、一刻も早く、その場を離れることだけに意識が向かい、万が一、息が残っていた場合のことを考えないのだ。

 

クリミナル視点で我に返った私が新聞を手に現場に戻ると……

 

やはり、生きていたーーーーーー笑い泣き

 

ヘッドショットで微妙に潰れたため、移動はできない状態だったが、足と羽をもぞもぞ動かしている……移動するのは時間の問題ということも十分に考えられるだろう。

 

徹底的に息の根を止めるしかない。


サイコモードにシフトした私はバーサーカーと化したムキー

 

サイコ的な連打で完全殺害を終え、ゴミ置き場に死体遺棄し、何ごともなかったかのように外出した。

 

だが……

 

移動中も興奮が止まらず、人と会って食事をしても、殺害シーンが思い出されるゲッソリ

 

外出間際の死闘でかなり疲れたようだった。

 

黒光るアイツでこれだけの興奮を覚えるのだから、人を殺める興奮とダメージは計り知れないだろう。

 

返り血を浴びて殺害し、平然としていられるのは普通ではないはずだ。

 

私は普通なのだウインク