お亡くなりになってしまったなんて、本当に残念です。私が生きているうちにぜひお会いしたいと思っていた人の1人が、またこの世を去られてしまいました。水木先生なら、死を超越してもおかしくないと本気で思っていた私です。今、鬼太郎と会っているんでしょうね。

何年も前に、水木先生が徹子の部屋にゲスト出演されていたときのことを思い出しました。戦争中、水木先生がジャングルの中をさまよっていたときに、ぬりかべに遭遇したというエピソードです。

暗がりで何も見えない状態の中、行く手を遮る何かが現れたのだそうです。明るくなってから周囲を見回しても、行く手を遮る壁や岩は見当たらず、あれがぬりかべだったんだというお話でした。

これを聞いた私は、自分の体験を思い出しました。小学生のときだったと思いますが、夜中にトイレに行こうとして、手探りで階段に向かったら、目の前に壁らしきものが立ちふさがったのです。手で触れてみると壁のようでした。こんなところに壁なんてないはずだと驚いて、一度後退してから、そろそろと手探りで進んでみたら、今度は何もなくなっていたのです。かべが行く手を塞ぐなんて怖いですよね。もとの場所に戻れなくなることも考えられるでしょう。

この体験を思い出して、あれはぬりかべだったんだ!と思ったのでした。

妖怪や妖精は、自然に恵まれた美しい場所に出現するイメージがありますが、私の体験が本当だったとしたら、東京都内にある住居の中にも、妖怪は現れるということです。しかも、あんなに大きなぬりかべですよ! よく考えてみると、ぬりかべが普通に立っていられる家って、お屋敷なんじゃないの??? 家は普通の日本の狭い家でしたけど。謎の心霊体験?でした。

妖怪は不思議です。だから魅力的なんですね。

水木先生のご冥福をお祈り申し上げます。