機動戦士ガンダム | 原型師は燃えているか?

原型師は燃えているか?

見せてもらおうか そのオヤジの奮戦とやらを

今回は趣向を変えて、私の古い作品を紹介します。
殆ど誰の目にも触れていないような作品です。
その理由は後述します。

古い作品を今の目で見ると、出来の面でも恥ずかしいのですが、この作品には思い入れもあり紹介する事にしました。
バンダイホビー事業部の依頼で1998年に作った、アムロ・レイです。
スケール1/12、原型、塗装を担当しました。
身長約14cm。

パリは燃えているか?

ガンダムは私の人生を変えた作品とも言えます。
中学生の頃、漠然と美術教師になろうかと思っていた私を、アニメの世界へと誘った作品として。
小学生の頃からコママンガを描いていましたが、高校卒業後、東京デザイナー学院アニメーション背景科に入学します。
専門学校卒業後に、玩具企画会社へグラフィックデザイナーとして入社するのですが、いろいろあって(笑)原型師と兼任する事となりました。
私が原型師になるなど、それまで全く考えた事もなかったのですが。

パリは燃えているか?

話は飛び、93年からフリーランスを始めた私に、バンダイホビー事業部からフィギュア原型のオファーがありました。
(バンダイのライフ事業部からは、ディフォルメウルトラマンなどの原型仕事も頂いていました)
新しくフィギュアのシリーズを始めたいので、様々なキャラを作って欲しいと。
一番最初のアイテムが、ガンダムのアムロとシャアでした。

上記の理由もあり、私の興奮とヤル気は最高潮に達しました。
昔買ったキャラコレのプラモ以来、ホビー事業部でちゃんと立体化されるのは初めてだったと思います。
私がその原型をやるんだ!
ポージングも一任されましたが、話をきいてすぐ、このポーズが頭の中に浮びました。
安彦良和さんの描く、あの柔らかい雰囲気を再現するぞ!と。

パリは燃えているか?

アムロとシャアの原型と塗装見本が完成しましたが、ちょっと前に発売した他のフィギュアの売れ行きが芳しくないと、このフィギュアシリーズは企画中止となりました。
フィギュアは商売にならないと(当時は)判断されたのでしょう。
それまでで一番力の入った仕事は、こうして幻となりました。
私の落胆いかばかりか、ご想像下さい(笑)。

当時の担当者からは、半年経ったらこの作品は自由に使って構わないと言われましたが、ずっと私の作品ファイルに眠っていました。
ここに掲示できて、ちょっぴり嬉しいかも。
アムロも喜んでいるかな?

蛇足ですが、地球連邦軍の制服はプロフィール画像で私が着ている(笑)、日本陸軍の制服(四五式~昭五式)を元にしているものと思われます。