元村の桟橋のすぐそばであった。
警官が聞きこんで、その鞄を検分に来た。彼は東京からの指令を憶えていたので、早速「それらしきもの漂着す」と無電を打った。
折返し、新しい指令が来た。警官たちは忙しくなった。旅館は一軒のこらず臨検をうけた。
その結果、目賀野が見つかって、飛行機で到着したばかりの田鍋課長の前へ呼び出された。
目賀野は、その鞄と無関係であることを主張した。いわんや殺人事件などは思いもよらないと抗弁した。
三日間、のべつに取調がつづけられ、目賀野が陳述した重要事項は、次のようなことであった。
「別に悪いことをした覚えはありません。君も知っているとおり、昔からわしは曲ったことは大嫌いだ。……しかし、ちょっと慾の気は出した。例のラジウム二百|瓦の入った鉄の箱が、この三原山の噴火口の中に投げこんであると耳にしたもんだから、なんとかそれを取出そうと思ってね。いや、取出せばその筋へ届けるつもりだった、本当です。しかし世間を呀っといわせたかった。