土地と税の概念を伝える為に中世ヨーロッパの統治法を例に出します。
「騎士と貴族の違いとは?」
との質問に対しては、
「世襲制が貴族。あくまで本人の勲功(武功)によって地位や報酬が変わるのが騎士です。」
ていうのが一般的な回答で私もそう思います。
では騎士は従軍の義務があって貴族は何をしているのか?
先祖代々の土地と農奴を従えて、一生優雅に暮らしてるだけか?
との問いには、
「貴族の仕事は王族の為の『納税』です。
そして貴族とは王族の血縁であってこその貴族なのです。」
てことです。
はい、広大な土地と大規模な私兵を持っても、王族に納税さえしてれば自由は許されたのです。
但し、ヨーロッパと日本との大きな違いは、ここにキリスト教が入ります。
「教区」というものがあり、農民は別に「教会税」を納めてました。更に時代や地域に差はあるかもしれませんが、地主の貴族に納める税と、国家への直轄税の二重取りもあり、王、教会、貴族の三重苦に農民は大変苦しんでいました。
怒りが爆発して国王を処刑するというフランス革命が起きたのが1789年。
それより前に節目となる出来事が幾つかありました。
ローマ教皇の権威がヨーロッパ全土に広まり、教皇よりも国王のが上ってのが公に認められた歴史的出来事が、かの有名な
「カノッサの屈辱」
です。カール大帝は教皇からの戴冠の為に、カノッサの寒空で待たされました。
「教皇が国王を待たせても問題ではない」
てことが世に知ることとなり、教皇の権威はピークでした。
そしてキリスト教の名の下に、十字軍の遠征を行います。
しかし、これは戦費の負担を招くだけで、ヨーロッパ全土が疲弊し、教皇の権威は失墜します。
権威が失墜したのは騎士も一緒です。
騎士とは戦費の負担は自前だからこその騎士なのです。
部下の武器や食料を、自分の領地から得られる収入で賄うのが騎士です。
そして騎士は貴族に忠誠を誓いません。
あくまで主君は王であり、勲章は王から賜るのです。
勿論、貴族が縁者を格上げさせる為に王に口利きはあったでしょうが。
しかし、騎士とは王宮で調練を受け、そこで騎士道のカリキュラムを修了してこその騎士なのです。領地に盗賊やオオカミが出たら、農民を守る為に武装して先陣を切るのが騎士です。
凶作の時は自ら山で狩りをして獣の肉を農民に与えるのが騎士です。
しかし、大砲と大航海時代が騎士道への追い討ちとなります