「樹里亜ちゃん!」
「ぬ~り~か~べ~」
人間に化けてパワーダウンしてるとはいえ、ゆうに2メートルはある大男のパンチ!
樹里亜さんは避ける素振りも見せず、スッと上げて左手で顔をガードすれば…。
「ぬりかべ…。」
重低音の苦悶の声を上げたのは相手の方だった。
メタリックグレイに輝く樹里亜さんの左腕は、拳を砕かれたぬりかべダグラスの返り血で真っ赤に染まった!
「ふ~ん、この程度で『岩をも砕く』なんて笑わせないで!
じゃぁ、あたしの拳は『鋼鉄をも砕く』わよ!
『必殺!メタルナックル!!』 」
今度は樹里亜さんの右拳がメタリックグレイに輝き、ダグラスの巨体の土手っ腹をを狙う!
「止めろ!ダグラス受け止めるな!避けろ!」
「ぬりかべ~!」
腹を守る為にガードした左手も、樹里亜さんの鋼鉄の拳に粉砕された!
「凄~い樹里亜ちゃん!カッコイイ!」
「このウドの大木はこれで戦闘不能ね。
吸血鬼のあんたも、あたしが倒してやるわ!
うず女先輩は安心して踊り続けててください!」
「フフフ、私を巨体だけが取り柄のダグラスと一緒にしない方がいい。
ヴァンパイアはこそ頂点に君臨する最強の妖!」
「フンだ!確かに吸血鬼の怖さは知ってるけど、血を吸うだなんてメタルスライム

のあたしとは相性最悪ね!
首筋を鋼鉄化したらあんたの牙は文字通り『歯が立たない』し、仮に牙を突き立てて、血を吸っても、血液成分を有毒金属に変えることも出来るわ!」
「樹里亜ちゃん凄~い!
血を吸えないなら貴方に勝ち目ないわ!」
「うず女先輩とのダンス対決を、15分経過して判定に持ち込ませるほど、あたしは甘くないわ!
ここで一気に勝負を付けてやる!」
「最強の妖・ヴァンパイアを、血を吸うしか能がないとお思いとは心外ですね。
『吸血鬼に血を吸われた者も吸血鬼になる』
この意味がお分かりですか?」
「だから?結局、血を吸えないと無意味じゃん?
あたし、頭の悪いイケメンが一番嫌いなの!」
「抵抗する相手が易々と血を吸わせてくれると思いますか?
相手を殺さずに不滅の吸血鬼軍団を何故、組織出来たか?
答えは私の『目』にあります『魅惑(チャーム』」
続