正義感か義侠心か、はたまた只の自己満足かは解らないが、私はゆかりと白黒を着けたいが為に教官でありながら八連制覇にエントリーした。
だが、そのことは塾内ど特に問題にならなかった。
一般の塾生は限られた日程で八連制覇以外の準備に追われていたからだ。
それでも話題には事欠かなかったが。
その中心は私よりも、77年ぶりに萌慎艶戯塾二号生筆頭に復帰した雨野うず女だった。
「天照大御神を踊り天の岩戸から出した芸能の神」
こんなことは特に勉強しなくても日本人なら誰でも知っている。
しかし、私の目の前で看板に釘を打ったり、段ボールにガムテープを張り合わせてる至極普通の少女が、官能的と肢体と踊りを八百万に披露した魅惑的な女性とはとても思えなかった。
樹里亜さんやかごめさんほど男性的でもなく、ミラさんほど早熟なボディでもなく、湖々さんほど「腐」でもなかった。
しかし、誰からも好感を持たれそうな可愛さと、控えめで聡明な態度、時折みせるやんちゃな笑顔。
これでもしも神話通りに、得意のダンスの時だけ別人の様にセクシーになるかと思えば、彼女は萌慎艶戯塾の「萌」「慎」「艶」「戯」を見事に体現した優等生そのものだ。だから二号生筆頭なのだろうが…。
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「ただ今より、第122回、萌慎艶戯塾文化祭『愕怨祭(がくえんさい)』を開催致します!」
司会進行は実行委員長の万谷湖々さん。
積極的に準備に取り組み、寧ろうず女さんの方が忠実に指示に従うようだった。
「それでは塾長より開会のお言葉を!」
「私が萌慎艶戯塾塾長・三好真理亜である!!」
「以上を持ちまして、三好塾長の開会の言葉とさせていただきます。
来場の皆様、この三日間十分にお楽しみくださいませ。」
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かくして文化祭ははじまった。
来賓席のバハムート塾長はシレッと優男の姿で着席してたが、開会式が終わった途端に慌ててゆかりの元に駆け寄った。おそらく直ぐにチビ竜に戻ってしまうのだろう。難儀な体質だな…。
だが、私達も他人にばかり干渉してられない八連制覇は最終日のイベントだ。
今日は今日で成功させなければならない。
屋台のたこ焼きや焼きそばは勉強してきた通りに問題ないだろうが、萌慎艶戯塾最大の出し物は
「お化け屋敷」だ。
そう、妖怪の彼女達が、人間の姿から手作りのハリボテで「それぞれの正体」にコスプレするのだ。これには天界の役人の監査の目も気にならないし、一石二鳥だ
続