妖!萌慎艶戯塾 第六話「集結」 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

東京四谷にある喫茶ロビンフッド。
水曜日の11時にここを訪ねればどんな願いも叶うという。
但し、生きて帰って来れるとは限らない…。
妖怪好きなユーザー様御用達の検索サイト「妖グル」にはこんな噂話の書き込みで溢れていたが、まさか実際に自分がそんな場面に遭遇するとは思っていなかった。
大天使ガブリエルと思わしき女性三好真理亜。
その人間離れした美しき瞳に全てを見透かされた気分だった。
「行方不明になりたい」

区議会議員の冴木マツリにはその動機だけで十分だった。

きっと大騒ぎになるだろう。
「火のない所に煙は立たぬ」
というが、自分が文字通り消えることで対立政党や報道関係者は父を責めるだろう。
だが、この異界の扉が決して明るみに出ることはない。
その追及がきっかけで、関係ない父のスキャンダルが暴露されれば本望だ。
ただ、その追及の手が親友にて秘書の古瀧ゆかりにまで及ぶことは心苦しいが…。
と、最後の迷いを断ち切るべく、店のドアを押し開けた時、ロビン店長は先日と同じく笑顔で出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。
お連れ様は既にお待ちでございます。
ブロッケン!冴木様をお席にご案内を…。」

(お連れ様だと?三好塾長のことか?いや、治美さん達が先に来てる可能性は十分にある。
まさか…。)

「ゆかり!それに皆も…。」

「マツリちゃん、ごめんね!連絡せずに。先に私が行くって連絡したら、マツリちゃんがどっちを選ぶにしても、迷わせちゃうと思って…。」

「フッ、私を迷わせない為か…。
お前の決断は迷いがなく…強いな…。」

「うん、私には親友は居ても家族は居ないから…。」


「ほらね、治美さん、冴木さんは来るって言ったじゃない!」

「堅城さんに綿貫さんも…。
皆、そんな大それた決断をして大丈夫なのか?」

「う~ん、ここで決断しとかないと、もっと大変に…。」

「私も倫恵さんと同じく…これくらいのことがないと『この世の異界』から抜けられなくて…。」

「ちょっと、二人ともどういう意味ですか?教えてくださいよ~」

ゆかりが仲良く話す光景にマツリは心を落ち着かせた時、最後の一人、体育教師の大月教子が来た。

「ごめんね、遅くなって。
最期のお別れに手間取ってさ♪」

「…大丈夫?お別れって家族?恋人?」

「幼稚園の息子よ。『新しいお母さんの方が一緒に居てくれるから好き』って、はっきり言われちゃったから、私も行くわ」続