天にお住まいになられます神様、天使様、「許してください。」なんて言いません。
全部、私が悪いのです。
地獄の閻魔大王様、誓って嘘は言いません。
ですが、私の釈明と弁明に耳を傾けて、どうか温情溢れるお裁きをお願いします…。
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ノノを連れて行ったのは私です。
マネージャーの仕事を休んでたから顔を出すきっかけとして、「出陣式」は最適でした。
それを上手く使って、ノノを慎太郎に引き合わすのを理由にして、マネージャーとして自然に復帰したい算段はありました。
勿論、過去の試合に、私がマネージャーとして手渡した御守りは、手芸部のノノとミクに手伝ってもらってたことは、皆が知ってることだから自然な流れです。
でも…まさか、金城慎太郎への淡い初恋の想いを込めた御守りを、まさかファンクラブを引き連れるほど女に困ってない(?)玉野秋成が横から強奪するなんて!!
しかも御守りだけじゃなく、藤田のの香という、地味で奥手な女の子のファーストキス(おそらく)まで奪ったんだから!!
グランドでは誰もが言葉を失った。
真っ先に我に帰ったのは慎太郎だった。
「止めろよ秋成!
この子は僕に渡す為に御守りを…。」
「何だ、慎はこういう女が好みなのか?」
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打算はありました。
ノノの感情が育ち切らない内に、慎太郎とわざとセッティングさせることで失敗を誘おうとしました。
段階を踏まずに奥手な二人が強引にセッティングされても互いに遠慮してご破産になることを期待してました。
私、東瀬美由紀は、親友の藤田のの香の初恋を潰す目的で慎太郎に会わせたのは間違いありません。
でも、誓って玉野秋成の蛮行を期待してたり、予測してたわけではありません!
ノノはわけがわからないまま、泣きながらその場から逃げていきました。
そして、私がノノを追いかけれなかったのは、玉野の
「こういう女が好みなのか?」
に対する、慎太郎の答えを期待してたからです。
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「そういう問題じゃないだろ!
秋成は、藤田さんのことなんて全然知らないだろ!
キスってのは好きな者同士でないと…。」
「柔らかくて甘い口唇の女ってのは今、わかったさ。
そういう女とキスしたいと思うのは、『普通の男なら』当然だろう?」
「違う!
僕が言いたいのは…。」
「慎、怒りと嫉妬を混同させるなよ。
そのいい口唇した女の為か?自分の為か?それとも…俺の為か?」
「全部だよ!」
続