勲章と指環 20 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「は、はじめまして…。
スールシャール王国の内務大臣のロイ=シェルストレームです。
先生の著書はどれも読んでいます!
どこを採掘現場にするかは先生の著書を参考に…。
でも、先生が女性だったなんて…。」

「女が学者や作家として生きていくのは今の世の中は『旧世界』に比べてまだまだ窮屈だからね。
それでも僕は男装する事もアルフォンソという仮の名前も窮屈には思ってないけどね。」

「今日、女性の姿で現れたということは、ハイネ殿下の御前だからですか?」

「うん、それもあるけどそれだけじゃない。
敢えて言うなら僕達は昨夜既に会っているから『はじめまして』ではない。
客席から舞台が良く見えるように、役者の行動は良く見えるんだよ。」

「アンナ、立ち話はそれくらいにしておけ。
ハイネ殿下を待たせてはいけない。」

「アンナ…?」

「ごめん、ジョン。
つい、嬉しくて。
じゃあ、僕達『お客様』は正門をくぐって謁見の間に向かうから、続きは会議室でね♪」

「それでは私は稽古がありますので。
実りある会議で国民を豊かになられることは主の御心に添うものと思います。
では、失礼します。」

「頑張ってね、女騎士さ~ん。
男社会で活躍する貴女に僕は共感するよ!」


私はその場の雰囲気に耐えられず敵前逃亡してしまった。

****

「ハイネ=スールシャール殿下のおな~り~。」

「お初お目にかかります、ハイネ殿下。
アンナ=アルフォンソ=パウエルです。
本日はグレゴリウス司教やシェルストレーム内務卿と同じ席で意見交換出来ることを嬉しく思います。」

「パウエル殿の高名はロイから聞いていたが、女性だったとは驚きだよ。

本当は演劇も見に行きたいのだが、王族の僕が単身でオーケストラに出向くわけにも行かずにね。
誰か一緒に行ってくれたらいいんだけど。」

「確かに殿下が外出されるとなると護衛が大変ですな。
一人で殿下をお守り出来る屈強さを持ち合わせ、なおかつ恋愛歌劇の楽しさを分かち合える部下など皆無であられましょう。」

「ジョン、僕は王子を一人の学者として見るって言ったよね?」

「あぁ、すまない。アンナ。」

「ではグレゴリウス司教にお聞きします。聖書に書かれた最強生物と最高生物ですが…。」

「最終戦争に訪れるリバイアサンとバハムートですか?
アンナ教授も『大破壊』は聖書に準ずると?」

「ええ、しかし、トールの槌も関係します。」続