「さあて、行こうか。
天界のお裁きはどうなるかわかんないけど、人間界の罪の方は、ホステスの女性との和解の道はあるはずだ。」
「そっちは大丈夫としても…錬金術の不正利用と、妖怪の力を人間界で使用したこと。
先に星明じゃない…サタンがベリトを裁いてたとしても、君はこういう結果になることがわからなかった訳じゃないから…正直、ミカエル様やガブリエル姉さんから温情判決が出るとは言い難いわね。」
現場に現れた宇都宮&近藤刑事は、ホステスに暴行した容疑で大瀬良を逮捕したが、手錠はかけず、車もパトカーでなく一般車に乗せた。
「らい夢、貴方の外車やアクセサリーを売って弁償に当ててね。
足りない分は私も働くから…。
貴方が立派なダンサーであることには変わらないから。
それは絶対に私が保証するから!」
「莉緒、お前何でそこまで…?」
「らい夢、ちゃんと罪を償って出てくるまで、私は待ってるわ。
人間界じゃ、こんなお子様の身体だけど、修行して貴方好みのレディに変身出来るようになってるから!
その時は…。」
「その時は?」
「ずっと一緒に居ようよ…。」
「莉緒、初めて自分を馬鹿だと思ったよ。
契約とか妖怪とかじゃなく、明日の誕生日にお前と過ごせないんだなって思ったら…俺、何て馬鹿なことを…。」
「じゃあ、今言っとく。お誕生日おめでとう、らい夢。
明日もおめでとうって言うからね。
私の声は絶対届くんだからね!」
「段田さん、貴方の今後は私からも弟の星明に相談するわ。」
「はい…。」
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「ねえ小夜子ちゃん、莉緒ちゃんが突然辞めたのは、海外のダンスチームにスカウトされたって本当?」
「あぁ、イスラエルの妖精『ASMO』のバックダンサーにスカウトされたらしいぜ。」
「まさか大瀬良先生が辞めたのも…?」
「違うよ。先生は実家の家業の都合らしいぜ。」
「そうだよね。
ねえ小夜子ちゃんもこれ書いて。」
「これ、無くなったとか言ってたオラフのタオルじゃねえか?」
「うん、見つかって嬉しいけど、同じダンス教室から世界に飛び出す莉緒ちゃんに、生徒のみんなでこのタオルに寄せ書きして渡そうと思うんだ。
だから小夜子ちゃんも書いてよ。」
「陽菜、お前莉緒にあんなに虐められてたのに…。」
「それはそれ。これはこれよ!
とにかく嬉しいニュースなんだから!」
「陽菜、(人間でホントに小学生の)お前が一番大人だよ!」
(終)