ものの10秒も過ぎてなかっただろうか?
奈々子さんが手にした鳥かごの中のオウム。
それは私やダリオちゃんよりも上位悪魔のフェネクスこと鳳明日香さんが形を変えた姿だ。
明日香さんは鳥かごの中からただダリオちゃんこと11歳の少女段田莉緒ちゃんを見つめていただけだ。
そして10秒後、急に辺りを見回したダリオちゃんは膝から崩れ泣き出した。
路地裏で泣く小学生は人目につくので、仕方なく近くのファミレスに駆け込み…。
『また人間の姿ですか(>_<)
自由に喋れるストレスフリーをもう少し満喫したかったです。(T_T)』
流石にオウムを店に持ち込むわけにいかず、明日香さんは人間に変身してもらったが、人間になると声を失う明日香さんは、筆談で私達に意思を示した。
オウムの姿で鳥かごに入ってる方が遥かにストレスだと思うけど、元々が火の鳥のフェネクス様は私にわからない苦労があるのですね、イラスト上手いし…。
「や、約束だから喋れるが…どうしても喋れないこともあるの、それはわかって!」
「あぁ、わかってるさ。
どうせ悪魔は契約主の名前を言えないんだろう?」
「茶谷さん、だから私は誰とも契約してないって言ってるでしょう!
私は大瀬良先生の協力者よ!
擬態の悪魔ダンダリオンの変身能力に目をつけて…私はいわゆる『出し子』よ。
あいつの代わりに金やプラチナを大人に変身して売りさばいてただけ。
その幾分かの手数料を貰ってた小遣い稼ぎよ!」
「それだけの関係じゃねぇから、言えないことがあるんだろ?私や陽菜や奈々子さんに上等なことするにはそれだけな訳ないよなぁ?」
「…らい夢は騙されてるの。
簡単なお金儲けの話に乗っちゃって…。
『あの方』は狡猾だから、らい夢が自分からお金に目が眩んで破滅に導くように仕向けてるの!
私はギリギリで両方を監視して、『あの方』がボロを出したら訴えようと思ってたんだけど…。
片棒担いで陽菜さんや他の生徒を傷つけたのは言い訳出来ないわ…。」
「お、おい段田?それはお前なりにあのチャラいダンス教室の先生を助けたかったってことか?」
「私なんかじゃ太刀打ち出来ないの!『あの方』が自分かららい夢に契約違反でもしない限り!」
「ねぇ…北御門さんが言ってた『買い取った金やプラチナが水滴になったり、元に戻ったりする』ってのと関係あるの?」
「水滴に?やはり戻ったのか!?いい加減な錬金術を!
これじゃホントに犯罪者だ」