セキララなその後とそれから 6 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

いくら私が知らなかったとはいえ、いくら王明さんは過去に何度もそういう事を繰り返していたとはいえ、いくらシトリーも私も悪魔で過去に面識があったとはいえ…。

「あくまで人間の夫婦」
という形を選択したシトリーは、私に腹が立って当然だろう。
私が逆の立場なら、男が一番悪いのはわかっている。しかし、相手の女性に同情はするけど怒りと恨みは別だ。

シトリーの裁きによる判決は、天使や悪魔や人間が居る中での、私と王明さんの過去の蜜月の暴露。
私が悪いんです…。
これが禊…。
シトリーは赤裸々に私達の営みを面白可笑しく語るだろう。
彼女は「裸にする悪魔」だ。隠し事は通用しない。
シトリー、物理的に裸にしなかったのは貴女の優しさなの?
それとも怒りが一周して私にはそんな価値もないのかな?

…これで終わりよ。これさえ終われば私は生まれ変わる。
どん底まで落ちれば後は這い上がるだけなんだから…。

お願い、グラシャ=ラボラス、私の禊を「俺には関係ない」なんて言わないで。
貴方に取って私は遠い存在かもしれないけど、私に取って貴方は遠くない存在だよ。
嬉しい言葉ありがと…。
貴方の『契約者』へのフォローはいつも最高だもんね。
私はただの貴方の雇主…。
だから私は「俺には関係ねぇ」を、都合良く解釈してはいけないんです。

「アンドロマリウスの過去なんて関係ねぇ」ってことは絶対にないんだから…。


「スキャニング!」

言葉と同時に私に向かって手をかざしたシトリーは、私の記憶を覗いているのだろう。
堪え切れずに頬が緩みだしていた。

「あらあら、王明くんたら、そっちの趣味があったなんて意外ねぇ♪
ウフフ、アンドロマリウス、貴女って可愛い顔してる割に…。」

歯を食い縛り、溢れる涙を堪える私の前を遮ったのは…。

「そこまでだ、シトリー!サタン様はお前に魔界の秩序安定の為に裁判官としての権限を与えたが、それはお前の私的制裁の為じゃねぇ!
俺のアンドロマリウスを泣かすなら、女でもこの手でお前を斬る!」

王明さんこと、能天使インドラさんとの戦いで彼が魔力を消耗してるのはわかってた。
私が我慢してたのに、立ちはだかるのその姿に涙腺は決壊した。

「おぉ怖い♪狂犬が誰かの番犬になるなんてお釈迦様でも見透せなかったでしょうね?
愛と正義に殉じるアンドロマリウスが私は大好きよ♪
でも、貴方達の本当の罪は『意地っ張り』よ。世話焼きオバサンの助言よ」続