ラストバトルⅦ~セキララ35 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

(麗しき瞳と声をお持ちのウリエル様。私の念話が届く範囲に入りましたら、返信をお願い致します。
私は逃げも隠れもしませんよ。
但し、関係ない人間に迷惑をかけたくありません。
警視庁に到着されましたら、速やかに柔道場にお越しくださいませ。
人払いの術は既に施してますので…。)
霞ヶ関に入った途端に、聞きたくもない念話が宇都宮真樹の脳裏に入り込む。

エゴイストの塊のような男の声を、直接脳で聞くのは吐き気がするが、大切な後輩の近藤くんが不当に拘束されてる中、そんなことは言ってられない真樹であった。

「ちょっと何よ、気持ち悪い…。
通信圏内に入った途端に念話が届くって、どんだけ送信し続けてたのよ…。
しかも柔道場で待つって、私達四人を相手にする自信あるの?」

「レビアたんに精鋭達を瞬殺されても、動じずに…。彼らは捨て駒だったのですね…。
仕事でも、プライベートでも、自分の目的の為なら簡単に切り捨てて…。
何で私、こんな男なんかを…。
どうせなら、王明さんから直接別れを告げてほしかったな…。
だったら思い出は綺麗なままに…。
何で奥さんなんかから電話で聞かされなきゃならないの?
私が何をしたっていうの?」

「真利ちゃん、グラシャ=ラボラスさん、怒りはごもっともだけど、近藤くんを無事に返してもらうまで、殺しちゃ駄目だからね!」

「ウリエル様、そいつぁ大丈夫だ。
俺とアンドロマリウスの契約は『能代王明を怖がらせて、謝らせる』だ。
命は奪わないつもりだ。
俺自身の命を優先する限りな…。」

人間の姿をした安藤真利子を抱えながら飛ぶグラシャ=ラボラスは、普段は隠している蝙蝠の翼で飛びながら自信ありげに言った。
その姿は白いマルチーズであったが、雄大な「漢」として、契約以上に真利子を想う気持ちで溢れていた。

「姉さん、あくまで最初は『人間』として交渉するのですよ。」

「天界を敵に回せば不利です。
能代個人の背徳行為及び、規律違反なのですから。」

「わかってるわよ星明!
ただ、あたしはあんた程人格者じゃないんだから!
あたしの弟だったらわかるでしょう?」

「私がわからないのは、近藤刑事が何故そこまで姉さんのことを…。」

「落っことすわよ、星明!
魔力使い果たして、私にお姫様抱っこされてるくせに!
こんな美味しいシュチュは近藤くんとだけしたかったのに!
それもこれも能代警視が全部悪いんだから!」

一行は警視庁に着いた