渋谷の1○9に特設されたイベント会場に現れた私服警察官達。
理由も告げずに強引に撮影を中止させ、
「四谷署の宇都宮刑事ですね。
本庁までご同行をお願いします。」
と、10人の私服警察官の中で一番年長者らしき者が言った。
「所轄の刑事一人に随分大がかりね。
『非番の日に無断でテレビに出た』がそんなにいけないこと?
それとも、能代警視が近藤刑事を拘束してる理由と何か関係があるわけ?」
「私達に貴女の質問に答える義務はありません。
ご同行を…。」
「私が『はい、そうですか』と素直に言うと思ってるの?いつもどおり、力任せに強引にやれば?『能天使』らしく…さ…。」
(星明、相手は『悪魔退治』のスペシャリスト達を選抜してきたわ!
グラシャ=ラボラスさんや真利子さんには文字どおり『天敵』よ。
星明は真利子さんを守りながら逃げて!
私が『唄』で彼らに先手を打つわ!)
(いけません、ウリエル姉さん。
能代警視の狙いは最初からウリエル姉さんだけだったのです!
奴らの挑発に乗れば、近藤刑事が危険です。
ここは余が引き受けます。)
(何言ってんのよ!召喚されたグラシャ=ラボラスさんはともかく、星明と真利子さんは今は人間の肉体なのよ!能天使(パワーズ)10人に敵うわけないでしょう!)
以上、高速念話終了。
「姉さん、今回の私はただの脇役ですよ。
囚われの王子を救うのは姉さんの役目で、復讐の刃を向けるのはアンドロマリウス。
騎士はグラシャ=ラボラスだ。
雑魚と興じる魔王は…ただの酔狂ですよ…。
相手が悪魔退治のスペシャリスト達なら、退治出来ないほどの悪魔を喚べばいいだけ!
来れ!『嫉妬の魔王レビアたん!』」
ブレスレットとチョーカーを外し、イベント会場のフロアに六芒星の魔法陣を描く星明。
今は人間だからこそ、サタンとしての魔力で召喚を躊躇なく実行した。
海竜リバイアサン。聖書に記された黙示録戦争で、海から出現する最強の生物。硬い鱗は天使の剣も全く役に立たないという。
恐ろしい大蛇か竜の魔物かと思ったが、レザージャケットに網タイツを履いた30半ばのパンキッシュな女性が現れ…。
「ご無沙汰してますサタン様。
ちゃ~んと『レビアたん』って発音してくれて嬉しいですわ。それで?契約の対価は?」
「…目の前に10人の天使が居る…。好きにしろ…。」
「ホントに!?あの天使全部食べていいの?久しぶりの性夜…ご馳走ね。」続