数時間前 警視庁
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「能代警視、近藤巡査長の拘留期限の48時間を過ぎました。
正式な書類で延長手続きが受理されない限り、彼の身柄を私に返して貰います!」
「宇都宮警部補、貴女の言う通りですね。
畏まりました。
それでは彼を解放しましょう。
但し、一時の休息ということを忘れない方がいい…。
私は彼の関与の線を諦めたわけではありませんからね。」
「貴方、一体何が目的?」
「さぁて…『貴女自身』かもしれませんよ?」
「エロ画像の付きの念話は無駄よ!
前回よりバリアレベルを上げてるの。」
「これはこれは流石はウリエル様…。
では、彼をお好きにどうぞ…。」
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「近藤くん、大丈夫?この2日間良く頑張ったわ!
やってもない自白を強要されるじゃないかと心配だったんだから!」
「時々挫けそうになりそうだったけど…宇都宮先輩を想えば、やってないことを認めて楽になるなんて選択は出来ませんでした。」
「偉いわ、近藤くん。
でも、あいつの言う通り、また拘束されるのは時間の問題よ!
お腹空いたでしょう?
ご飯食べながら対策考えよう?
あっ、それより長期戦になるなら着替えが必要ね。
アパートの鍵ある?
私、カバンに入るだけ持ってくるわ!」
「着替え?
あぁ、それなら大丈夫ですよ先輩。」
「大丈夫ってどういうこと?」
「宇都宮先輩と行き違いで、さっき史香さんも僕に会いに来てくれたんですよ。」
「史香?史香が先に来たの?」
「ええ、先輩と同じく拘留期限を過ぎたってことで、僕に差し入れ持って来てくれたついでに、史香さんに僕のアパートから着替え持って来て貰うように頼みましたから大丈夫ですよ。」
「史香に…頼んだんだ…。」
「いやぁ~、だって悪いじゃないですか?
先輩にそんな身の回りの世話させられませんよ~」
感情を音で表現出来るなら、私の頭の中で「プチッ」と鳴ったのは間違いないだろう。
「…ああそう…二年近く一緒に仕事した私には自分のアパートに入れたくなくて、数ヶ月前にアメリカから来たばかりの史香には簡単に鍵渡すんだ…。
それとも早い者勝ちだったかしら?
随分オモテになる近藤巡査長はさぞや女子高生にも人気でしょうね!
もう勝手にしてよ!」
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ブチ切れて、部屋を飛び出した私。
『能代は人間じゃないかも』とさえアドバイス出来なかったなんて我ながら最低…。
気が付けば私はまた、弟を頼っていた。続