セキララ 5 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

…私にはもうここに頼るしかない…。
絶望の淵に立たされた者の最後の希望。
それがかつて私がバイトしたお店

「喫茶ロビンフッド」

私がウエイトレスしていた時は、依頼に来るお客も、対応するスタッフに対しても

「ふ~ん、大変なんだね。」

程度に斜めに構えていたけど…。
まさか自分が依頼人になるなんて…。

「ごめんで済んだら警察は要らない」って言うけど、その警察が相手なのよ…。
私は何も要らない、ただ謝ってほしい。
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東京の四谷や九州の阿蘇に突然出現すると言われる喫茶ロビンフッド。

水曜日の11時に

「8番テーブルは空いてますか?」

の合言葉で「始末人」に会えるという。
この8という数字は店のマスターが「8番目の悪魔だから」というのが通説らしい。
対価は自分の「徳」を奪われるという抽象的な噂もあれば、5000万円から人一人片付けるとか、願いが叶った瞬間に魂を奪われるって噂もある。

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「時間ね…。」

ドアを開けばカランコロンと鐘が鳴り、私の来店を教える。

ペット持ち込みOKの店は、常連客が飼い猫や飼い犬を撫でながらウェイターと歓談していた。

「いらっしゃいませ。
奥の席へどうぞ。」

と、20代前半のロングヘアーでスタイルの良い女性が応対する。
私が辞めた後に入ったウエイトレスだが、店長の趣味も変わったものだ。

「あのう、8番テーブルは空いてますか?」

バイト時代にはまさか自分がこのセリフを言うとは思わなかった。

その言葉に気付いた店長は、グラスを磨く手を一度止めて、私に微笑みかけてくれた。
ロビン店長は5年前と全く変わらず、ハリソン・フォード似の男前だった。

私を知らないウエイトレスは、言われるまま8番テーブルに私を案内し…。

「ご注文は何になさいますか?
本日は良質のオレンジ・ペコが入荷しております」

うん、ここまではマニュアル通りね。

「そう、オレンジ・ペコか、いいわね。
でも私はコーヒー党だから濃いめのブルーマウンテンを、グラシャ=ラボラスに運ばせて。」

「グラシャ=ラボラスさんをご存知なんですか?」

「ええ、安藤真利子が、いいえソロモンNo.72『盗賊狩りの悪魔』アンドロマリウスが今までの仕返しに来た!って伝えてよ♪
貴女、名前は?私、以前にここで働いてたんだ…。
希望を胸に人間界に送り出されたけど…ね。」

「はじめまして!私、人魚の鮎川沙代理です」続