「おかえり、るん。大冒険だったね。
話は聞いたよ。電話口であんなに楽しそうに話す母さんは久しぶりだよ。
僕からもお礼を言うよ、ありがとう。」
「貴方!貴方がそうやって甘やかすから!
それはそれ、これはこれで…。」
「ほら、るん。桜子叔母さんの言うとおりや。
言わなあかんことあるやろ?」
「うん…。
勝手に家を出てごめんなさい。
心配かけて本当ごめんなさい。」
「るん、とにかく帰って来て良かったわ。」
「本来止めるべき立場の私も協力しましたわ。
お父様、お母様、ごめんなさい。」
「いいえ、麗香お嬢様の行動を報告しなかったのは私の監視不行き届きで…。」
「雪之介、おばあちゃんから聞いたわよ♪
もっと昔みたいに肩の力抜いた方が麗香お姉さんも喜ぶわよ♪」
「わ、私はこれが普段の…。」
「あれ、そう言えば凛子お姉ちゃんは?」
「うん、あぁ凛子は…。」
突然みんなに気まずい雰囲気が漂う。
「凛子は部屋で寝込んでるわ。
重症ね…。
るんの居ないこの3日大変だったんだから…。」
「何があったの?」
「うん、強力なライバル出現のようね…。」
「無敵のお姉ちゃんが寝込むくらい!?
それで月之介は?」
「我が弟ながらなんたる醜態…。」
「月之介まで?」
嘘、お姉ちゃんと月之介を負かすなんて何て達人?
ケガで寝込んでるの?負けたショック?それともリベンジの作戦を練ってるの?
お願い、不死鳥の様に立ち上がって…。
「それよりるん。
お母さんこそ、貴女のロックバンドを先入観で反対してごめんなさい。
あんなに情熱的に説得されたら認めるしかないわね。」
「説得?」
「ええ、考えようによったら一石二鳥どころか三鳥、四鳥よ。
入りなさい!」
「お帰りなさいませ、るんお嬢様!♪
って、言ってみたかったんだー!」

(イメージ画像)
「舞花!どしたのその格好?」
「嵐くんに仲介役を頼まれたら断れないよ♪メイドって前から憧れてたけど、メイド喫茶じゃなくて、まさか相野邸のリアルメイドに私がなれるなんて最高!
るん様!私達は不滅のユニットよ?」
「舞花…。」
「瀬能家の次女。るんの親友。嵐くんのボーイフレンド。守役としてはこれ以上ない人材だ。メイドとしてもね♪」
…愛の嵐の暴風警報発令中です。
(第一部完)