「瀬能フーズ」
個人経営の精肉店より少し規模の大きな有限会社で、鹿肉や雉肉、そして山羊肉等の普段スーパーで買えない食材を取り扱うことで地元市民から人気を得ていた。
長女の亜衣華と次女の舞花は、優しい両親と従業員に囲まれ幸せに育っていた。
しかし、食品部門に力を入れたい相野グループに目をつけられ…。
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「あらあら、恩を仇で返すってのはこのことね。
相野グループが貴女の会社の社名をそのまま残し、社長だった貴女のお父様をスーパーバイザーとして雇い、従業員を今までの給料で雇い直したのに。
それで一々貴女にナイフで刺されたら、命が幾つあっても足りないわ♪」
「合併が順調に進んでたのは知ってるわよ!
なのに、交渉の途中から割り込んで、嫌がる私のお姉ちゃんに手を出したのは相野麗香!貴女じゃない!!」
「……。」
「……。」
「ねぇ、嵐…。」
「なんだ、るん?」
「あの…ごめん。」
「何で謝る?」
「私にもわからないけど、何か申し訳なくて謝りたい気分なのよ…。」
「それならわかる。俺も従兄弟ですまんって気分や…。」
「貴女の姉…?う~ん…。」
「わ、忘れたとは言わさないわよ!
三年前、お姉ちゃんには初めての彼氏が居たのに、あんたのせいで…。」
「…ごめんなさい、思い出せないの…。失礼…!」
語り出した舞に向かって、再び手を伸ばす麗香お姉さん。その手は舞の胸を…。
「きゃっ!じ、事情を話したら触らないって言ったのに!やめて!…も、揉まないで…。」
ハァハァと息を切らす舞をよそに、姉は漸く、
「あぁ、あの時のもち肌Eカップ♪
貴女が妹かぁ♪」
「おっ○いで思い出さないでください!幾ら姉妹だからって!」
「失礼ね!姉妹でもるんの貧乳から私のお○ぱいが想像つくわけないでしょ!」
どこでキレてんのよ!お姉さんの方が私に失礼よ!
「あら、瀬能亜衣華とは一晩限りの約束でしたわ。
それでご破算になるなら、その程度のご縁ね。」
「で、でも、会社同士が上手く行ってたのなら、何で麗香お姉さんは舞のお姉ちゃんにそんな要求を?」
「動機が知りたいのるん?」
「ええ。舞もそこがわかれば納得すると思うわ。」
「世話が焼ける娘達ね…それはね…。」
『それは…?』
「職権濫用よ!」
開き直った!
嵐、舞、ごめん、こんな姉で。
「自分に言い寄る女よりも、時には嫌がる女を手籠めにしたくなるのよ!」続