「はぁ、はぁ遅くなったです。」
ウリエルと約束した金曜日です。
喫茶ロビンフッドの扉に掲げられた
「本日貸し切り」
の看板に改めて事の重大さを思いしったです。
「…それだけ重大な会議…ということですか?
そして四大妖怪はそれだけ悪魔にも影響力があるということでしょうか?」
身の引き締まる思いで扉を開け、
「里見愛です。遅れて申し訳ないです。
鮎川さん達のお手伝いに…。」
ガランとした店内の、一つだけのテーブルに集まり座る七人。
私に気付いた妹のウリエルが…。
「あ~、やっと来た!愛ちゃん、こっち、こっち!」
愛ちゃん?天界でも人間界でも姉である私を名前で呼ぶなどと…。
いえ、そもそも私とウリエルは、彼ら四大妖怪の会議の真意を探る為に沙代理さん達と連携してウェイトレスのお手伝いをするはずではなかったですか?
まるでお見合いの様に席に向かい合い…。
「里見愛様、お久しぶりです。
ご注文は?」
ウェイターとして私に水を持ってきたのはジョニーデップ似の人間に変身したグラシャ=ラボラスさん。
「お、お久しぶりです。め、珍しい姿を見れたです…。」
「ロビン店長がテリーとブロッケンも連れてオリハルコン探しに出かけたからな。
俺と御子神で坊っちゃん達のホスト役さ。」
「と、取りあえずアールグレイを…。」
「かしこまりました…。」
「マルチーズのグラシャ=ラボラスさんはすっごい可愛いけど、人型モードは渋いおじ様で素敵ね~。
同じ職場で働けるなんて、沙代理ちゃんと明日香さんが羨ましいわ~。」
テーブルからカウンターに向かうグラシャ=ラボラスさんの後ろ姿を、身体を捻り見続ける妹のウリエル。
その姿に四大妖怪の男性陣が…。(長たる四人が私達と同年代とは驚きです!)
「おいおい、宇都宮さん。今日はこんなに若くて活きのいいメンズが揃ってるのに、おじさん趣味はないだろう?」
「じゃあ、私だけが選び放題?それもいいな~。」
『私は男性に年は関係ないと思います。』
明日香さんまでスケッチブックに何を書き込んでるですか!?
あまりに予想外の状況に
(ウリエル、何ですか、これは?
まるで合コンみたいな雰囲気じゃないですか?)
(みたいじゃなくて合コンだよ~!)
一番返って来てほしくない解答が高速念話で返ってきたです。
「じゃ、全員揃ったから自己紹介しよう~。」
このノリ、付いていけないです。