「ヤッホー!沙代理ちゃん。
これ差し入れ。
みんなで食べてね。」
「真樹さん、いつもありがとうございます。
今日は非番ですか?」
「ううん、聴き込みのついでにこの近くまで来たから、昼休みも兼ねてね。」
「すっかりウチをご贔屓にしてくださりありがとうございます。」
感動的なライヴから一週間。
妹のウリエルは喫茶ロビンフッドがお気に召したようで、何かと理由をつけては仕事を抜け出し通い詰めてるそうです。
喫茶ロビンフッドでライヴが行われるのは火曜日だけで、それ以外はマーメイドの沙代理さんはウェイトレスとして、フェニックスの明日香さんはピアノ弾きとして働いているです。
元々、私より社交的な妹ですから、下の名前で呼び合うのに時間がかからないのは驚くことではないですが…。
驚いたのはこの後です。
『沙代理ちゃん、もし良かったら真樹さんに一度…。』
スケッチブックに書いた文字を見せる明日香さん。
フェニックスの明日香さんは人間化すると、酷く醜い声になるそうで、沙代理さんや私達との会話は全てこうやって筆談で行われるです。
「うん、私も明日香姐さんと同じこと考えてたの。
他に頼れる人居ないし…。」
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「ええ?それ本当?うん、確かに私も姉さんも今は独身フリーだよ。悲しいけど…。」
「そうなんです。店長の手前、邪険に断れないし、でも先方さんが本気になり過ぎても…。」
「ま~ったくバルバトス店長ったら昔から紳士的なおじ様なんだけど、宝探しになると別人になるんだから!
任せて、私と姉さんが参加するから!」
「本当に?ありがとう!やっぱり真樹さんに相談して良かった!」
『でも、愛さんまで本当に参加してくださるのでしょうか?』
「そこは私にいい策があるわ。」
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「どうしたですか、ウリエル?こんな夜中に?
えっ?日本の四大妖怪の長達が集まる会議がロビンフッドで?
店長がオリハルコン探しで居ない日に密約?
妖怪達が天界に弓を引く計画?
わかったです、それは緊急事態です!
金曜日ですね。天使ラファエルとしてバレないように潜入捜査するです。
し、しかし、それだと沙代理さん達に接待役をさせるのは危険では…?」
「あぁ、いいのいいの。馴染みない私達だけだと怪しまれるでしょう?」
「わかったです。
では、ガブリエル姉さんとミカエル様に報告を…。」
「駄目ー!(それじゃ合コンの意味ないし)」続