戦争史と宗教史と経済史について 1 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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キリスト教の最初にして最大の挫折は十字軍の遠征である。

それは第一回目(1096~1099)こそ成功し聖地エルサレムを奪還したものの、すぐさまイスラム諸国に奪われてしまいます。

失敗の原因は幾つかあります。

教科書に載る範囲では「宗教的意義の希薄」が挙げられています。
キリスト教の聖地を取り戻すという目的から、領土の侵略や財宝目当てとなり、虐殺などが横行し、軍の統率が取れなくなったと…。

これが一般的な概説です。

しかし、もう少し科学的に検証してみましょう。

十字軍がイスラム諸国の財宝目当てに虐殺や略奪を企てるようになった、とは当時のイスラム諸国にはそれだけ豊かだったということです。
豊かさを持たらしたのはイスラム商人と、それを媒介したベネチア商人です。

「商人」つまりお金の計算に長けた者です。

中世ヨーロッパはキリスト教における精神性を重視するあまり、実利的なことにはとても疎く、数学、天文学、測量、航海術においてイスラム諸国の文化の高さに負けたのです。

かのガリレオ=ガリレイがイタリア出身だったのも、統一国家が出来ておらず、教会権力の弱い「後進国」だったというのも頷けます。

中世の教会権力者は聖書を手前勝手に解釈して、理数系の知識を悪魔の諸行と考える傾向がありました。
これはかつてキリスト教がユダヤに迫害されたことから、キリスト教徒はこの時代ユダヤを迫害してました。
そしてユダヤ人は「最も卑しき職業」として金貸しの職業にしか就けませんでした。
これが遺伝子の淘汰を産み、ユダヤ人は非常に計算能力の高い民族となります。

十字軍の遠征失敗は思わぬ余波を生み出します。

「戦費の負担」です。
音頭を取った教皇の権力は失墜し、「カノッサの屈辱」以来、教皇の下位に従属するとされた諸国の王様の権力が盛り返してきたのです。

また、十字軍に積極的に参加したのは「騎士」でした。騎士とは自分の土地を持ち、自分の部下を従え、国の有事に従軍する者ですが、戦費は自己負担なのです。
十字軍の遠征失敗で没落した騎士は王様や貴族に土地を奪われます。

教皇の権力が失墜し、キリスト教でヨーロッパをまとめられなくなると、各国の王様は自国の利益のみを追求し、未知なる土地に富を求めます。
これが「大航海時代」の幕開けです。

続きは次回に。

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文系、理系、世界史、宗教史と単純なくくりはありません。