モトサヤ 1 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

俺にはもうここに賭けるしかない。
全てを清算するにはこれしかないんだ…。

水曜日の午前11時に、「喫茶ロビンフッド」を訪ね、合言葉を言えば望みが叶う。
俺にはもう、この都市伝説に頼るしかなかった。

「いらっしゃいませ。」

店内は意外と賑やかで、仔犬や仔猫を連れた女性達が、ウェイターやマスターと歓談しながら紅茶の味と香りを楽しんでいた。

俺はマスターらしき人に

「8番テーブルは空いてますか?」

と合言葉を言った。

マスターはアゴヒゲを触りながら不敵に笑い、

「ブロッケン、ご案内を、テリーは連絡を。」

と、軍服のコスプレをしたウェイターに俺を案内する様に指示した。

「ご注文は?」

「ええと…メニューは何があるのかな…?オススメとか…。」

異様な雰囲気を直感的に感じながらも、完全に浮世離れしてない店内に戸惑い、注文に迷っていたら…。

「本日は良質のダージリンが入荷しております。
オススメですよ?」

と、ウェイターが勧めてきた。

「あぁ、じゃあそれで。」

正直、紅茶なんてどうでもいい。
今の俺は自分の依頼が叶うかどうか…。

「お待たせ致しました。」

テリーと呼ばれるカウボーイスタイルのウェイターが、白いマルチーズを抱いた一際長身の男性を連れてきた。
(何でぇ、若い男かよ。)
そして…。

「Can you keep my secret?」

と、合言葉を言った。
間違いない、ここまでは噂通りだ。

「私が『始末屋』の御子神です。
こちらはグラシャ=ラボラス。私のパートナーです。
事情を聞きましょう。」

****

運ばれて来た紅茶を味わいながら、俺は一枚の写真を出した。

「真壁あずさ。専業主婦であり、俺と『不適切な』仲だった女性だ。」

(けっ、年増と痴情のもつれか。世も末だな。)

「あんた、ホントに殺れるんだろうな?」

御子神という男の視線はサングラスに阻まれわからないが、
「一般女性ですね。
ならば5000万円お願いします…。」

「5000万?ボッタクリだな!」

「これが政府要人なら倍に、国家元首ならゼロが増えます。」

と、淡々と話した。確かに命に値段をつけるとそうなのか?だが…。

「違う。ターゲットは彼女じゃない。俺自身を消してほしいんだ!なるべく事故とか自然な形で。彼女や旦那は苦しめばいいが、彼女の子供には幸せになってほしいんだ。」

(子供?娘か?息子か?)続