プロローグ
「おぉ、ソーマ王子!私達の婚約が両国の恒久の平和となることを、心から誓います!」
「アーヤ姫、これは終わりではない、始まりだ!
私達で善き国を作り、善き人間を育てようではないか!」
第一幕
「駄目だ…。
多勢に無勢だ。
ここも直に落ちる…。」
「キィイエーイ!
諦めては敵の思うツボです!
望みを捨ててはいけません!」
「あぁ、アーヤ姫。姫自らが剣を握り前線に出られるとは…。
父王が司教レンから毒殺された途端に、謀反が起きた。
一番辛いのはアーヤ姫だろうに、そんな素振りも見せずに…。」
「皆の者、希望はあります。
我が国最大の英雄、マーク騎士団がきっと帰ってきます!
隣国から援軍を連れて帰ってきます!
レン司教…。マーク団長の留守を狙って父王を毒殺し、謀反を企てるなどとは姑息な真似を!
騎士団が帰還すれば、私の手で切り捨ててくれようぞ!」
第二幕
「そう上手く行くでしょうか、アーヤ姫?」
「レン司教!わざわざ前線に出向いてくるとは!父王の仇!」
「姫将軍は武芸に勤しむばかりで政治というものがわかっておられませんねぇ?
まさか本気でマーク騎士団長が帰還するとでも?」
「騎士団だー!マーク騎士団が帰ってきたぞー!!」
「おぉ、マーク団長、早くこの謀反人を切り捨てておくれ!」
「フフフ、アハハー!」
「マーク団長、レン司教、何がおかしい?」
「アーヤ姫、こちらの方をどなたと心得る!『レン国王陛下』なるぞ!頭が高い!」
「…遠路はるばるご苦労…。忠義には感謝致します『マーク大臣』…。
この『女』を牢屋へ!
戴冠式の余興に処刑すれば、国民も諦めるでしょう…。」
「裏切り者ー!
貴方達に神罰を…。」
第三幕
「亡国の姫よ、出ろ!」
「…処刑の日が来たのですね…。神よ…。」
「いえ、処刑はまだです。
貴女にはまず尋問を受けて貰います。」
「尋問?今更、私に何を聞くというのでしょうか?」
「レンとマークは隣国をも欲しがりました。
しかし、ソーマ王子は一早く脱出し、反撃のチャンスを窺っているのです。レンは貴女が王子の居所を存じてるかと…。」
「仮面の首切り役人殿、何故貴方がそこまで…?」
「婚約者の声をお忘れですか?」
「ソーマ王子!」
「私が必ず貴女を助けます。
しかし、今は不味い。
怪しまれぬ為に本気で貴女に拷問をしなくては…。」
「それは望む所です!」
終