典型的な理系ヲタで「間に人」と書いて「人間」ってことをわかってなかった。
まぁ、それがきっかけとなるのだから人生万事塞翁が馬なわけで…。
****
店長は私が居るにも関わらず、先輩の方にある指示を出した。
そしてその成り行きを見届けないのも問題で…。
彼女は私と同い年だが、一ヶ月早く採用されてるので間違いなく先輩だ。
与えられた指示は壁にコルクボードを吊るすこと。
女性に大工仕事を指示するくらいなら、自分でやるか私を使えばいいものを…。
案の定彼女は苦戦してた。
だが詳しく観察すればそれは女性の「非力さ」が原因ではなかった。
彼女の右手には金槌

左手には木ネジ

何かがおかしい。
彼女は木ネジを目掛けて力いっぱい金槌を打ち込んだ。
「やっぱり」
全く壁に入らないことに対して
「ねぇ、この釘、壊れてるよ!」
と私に向かって言った。
…釘?釘って確か

こんなだよな?
と、まずは自分の常識を再確認…と。
うん、私は間違ってない。釘は決して

これではないぞ!
私は彼女に対して、少し呆れ気味に…。
「それじゃ駄目だよ、代わって!
金槌の代わりにドライバー持ってきて!」
と言った。
すると…。
「ドライバー?

ここの後ろでカーンって、叩くの?」
「釘から離れんかい!
これは木ネジと言って釘じゃないの!
ドライバーでネジを回すみたいに、押し込みながら回転させると入ってくの!
ほら!」
と、実際にやってみせると、コルクボードを吊るすことなど容易いものだった。
「わっ、凄い!
何でそんなの知ってるの?」
「何でそんなの知らないの?
図工の授業で使わなかった?」
「ウチの校区じゃ無かったよ!そっちだけじゃない?」
「いや、でも知っとこうね…。」
「ふ~ん、いろんな種類の釘があるんだね♪」
「だから釘から離れんかい!ネジの種類なの!」
これをきっかけに、一緒に映画を観に行けました。
終