あらすじ
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僕は能無しピエロ。
お手玉も一輪車もテンで駄目。
でも恥ずかしくないよ。
だって誰も悲しまない。
僕は落ちこぼれピエロ。
空中ブランコなんて夢の夢。
でも気にしないよ。
だって失うものなんて何もない。
でもね霧子(きりこ)ちゃん。
僕は君に出会って初めて気付いた。
こんな自分が恥ずかしいって。
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出演
主役=いじめられっ子ピエロ
ヒロイン=霧子団長
ライオン=主役ピエロの心の友。アフリカを懐かしがる。
いじめっ子ピエロ三人組。
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開演
今日もお手玉が出来ないことを馬鹿にされた。
いつもなら愛想笑いで誤魔化していた。
でも遠くで見てる霧子ちゃんを思うと悔しくて、成功したことない6個のお手玉にチャレンジした。
結果はやっぱり失敗。
彼らはいつも以上に大笑い。
出来ない綱渡りをやれと言われ、お約束通りの転落劇。今日はバランス棒を頭に落としてやったよ。僕からのサービスさ。
ねぇ、ライオンくん。僕はどうしたらいい?
進むべきか?退くべきか?それが問題だ。
ある日、彼らは僕でなく霧子ちゃんを追いかけ回した。
これは大変だ。
助けなきゃ!
逃げる霧子ちゃん。
追いかけるピエロ三人。
僕は立ちはだかり、お手玉を投げつける。
投げた玉は全部受け止められ、投げ返されたからまた投げ返す?
あれ?何か今までと違うけど気にしない。
また彼らが霧子ちゃんを追いかけてる。
歩いての綱渡りじゃ追いつかない。
一輪車で追いかけないと。
いつの間にか僕出来てるよ!
それでも彼らは霧子ちゃんを追いかける。ついに梯子の上まで追い詰められた。
待っていて霧子ちゃん。
僕が反対側の梯子を昇るから。
舞台はクライマックス。
臆病ピエロは決心した。空中ブランコで霧子ちゃんを受け止めると。
霧子ちゃんも決心した。
ブランコに飛びうつり、彼の胸に飛び込むんだと。
一回、二回。タイミングが合わずすれ違う。
三回目。遂に彼女をキャッチしたピエロくん。
霧子ちゃんは無事に反対側に辿り着いた。
場内は勇者のピエロに拍手喝采!
アンコールに応えてのソロパフォーマンス。
その時、バランスを崩して一人落下した所で幕は降りる。
彼の行く末を知らない霧子団長だけのカーテンコール。
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帰り道
「ホントに死ぬ気になれば何でも出来るのね。
延命治療を拒否した末期患者達のパフォーマンスだなんて信じられない」終