12月31日 14:00
ドームの開場は16:00で、ライヴ開始は17:00。
まだ時間に余裕はあるが、私達が観たものは…。
「チケット買います!
お金は払います!!」
「そんな端下金で売れるわけないだろ!
世界の終わりなんだよ!」
ネットからの噂は噂を呼び、ドーム前はチケットを持たない人が何とか会場に入ろうと既に大混乱だった。
「これも奴の思惑通りか…?
勝ち組、負け組等と無駄に不安を煽りよって…。」
怒りと呆れた気持ちが混ざった星明に、高校生くらいの女子二人が声をかけてくる。
「チケット余ってませんか?三倍出します!
ライヴを観れた者だけが新世界の住人になれるんです!
そんなの嘘ってわかってるけど、私達の嫌いなグループはみんなチケット持ってて、この子だけ観れないのが悔しくて…。」
「ねぇ、星明。『瑚』はこういう軋轢が生まれるのを見越してネットで煽ってるのかな?だとしたら厄介ね。」
「そうだな…、君達すまない。私達も人数分のチケットしか…」
と星明が女の子達に断ろうとした時、私達と一緒に来たミカエルさんが…。
「どうぞ、私のチケットを使ってください。お金は要りませんから。」
「そんな!悪いです」
突然のことに驚き、遠慮する女の子達。
しかし、ミカエルさんは…。
「佐田くん、落合さん。ドームの中は任せました。
私はこの作戦で遊撃手のポジションでしたが、私は自分の仕事を見つけました!」
ふいに遠くの男子学生くらいのグループに目をやるミカエルさん。
「返せ!俺のチケット!」
来た!遂にライヴチケットを巡って文字通りの争奪戦が!
ミカエルさんは強奪した男の子を一瞬で取り押さえ…。
「新世界や理想郷は、君の様に力で辿り着けるものではありません。
真の信仰を持つ者の心の中に輝くから尊いのです。
地上の平和を願うなら、行ける、行けないは関係ありません。
祈りましょう。」
いつの間にか大捕物と「伝導課」ミカエルさまの説法にギャラリーが集まり拍手喝采が起きる。
これが計算でなく、天然だからミカエル様って凄い…。星明と二千年以上話し合いが平行線なのも納得。
****
(思ったよりドームの外は落ち着いてるか…。
まぁ、いい。さぁライヴに行けぬ愚民よ!僕のページに集まるがいい!君達は新世界の奴隷だ!)
****
『来れ!嫉妬の魔王レビアたんよ!』
楽屋では人間化した魔王三人が召喚に成功した