12月31日AM8:00
「そ、それでは私は本当に行くです。
サタン、ミカエル、いいのですか?」
「ええ、ラファエル姉さんには病院での仕事があります。ウリエル姉さんや、反転契約の被害者の看護をお願いします。」
「わ、わかったです。しかし、あれから奴の動きはないですか?」
「はい、チャットも一方的に切られて、奴のページも更新もないんです。
サタン様、僕達ももう少ししたら楽屋入りしないと…。」
「わかった。ベルフェゴール、アスモデウスを間近で護れるのはお前しかいない。
私達も一般客としてライヴに行くから、それまでは任せたぞ。
スタッフにも不審な者には警戒しておけ…。」
「わかりました。でも、珊瑚、いや『瑚』が人間化したマルバスなら、見慣れない人間を怪しむけど、業界関係者が普通に陰でマルバスと繋がっててもわかりませんよ。」
「無駄なこと心配しないのベルフェゴールちゃん。
私も曽根晴人として、遅れて楽屋に挨拶しに行くから安心して。
サタン様の『あの作戦』があるから大丈夫よ!」
「でもそれは瑚が予告した、三つの同時テロの内、一つだけ…。」
「今は考えちゃ駄目ですぅ。
私だって本当は脅迫を理由にイベントを中止したいですけど、5万5千のファンの為に頑張るですぅ。」
「うん、そうだね。
では行ってきます。」
「待て、アスモデウス。
奴はライヴに行ける者を、『方舟に乗れた者』と言った。
ライヴに行けた者が歌を聞く以外に、こう…全員が同じ気持ちになり、ライヴに行けない者に対し、優越感を感じることはないか?
ネット住民は『ライヴに行けない』という気持ちが統一されてるからこそ、奴が操れるわけで、そこに我々の作戦が活きる。
だが、ライヴの観客が意志統一されるのは…。」
「う~んバラードを合唱するのも一体感あるですが、カウントダウンライヴだからこそ、カウントダウンがやっぱり一番盛り上がるです!
と言っても会場内の時計を三時間早く進めて、その気分を味わうだけですが…。」
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みなさんを見送った後、星明は一人召喚の儀式を…。
悪魔が現れる所なんて初めて見た!(当たり前か…。)
「来れ!ソロモンNo.25『殺人の悪魔』グラシャ・ラボラスよ!」
そこにはアゴ髭が美しい、アラフォーイケメン悪魔が…。
「久しぶりです。ホシが生身の人間なら俺は最適な人選ですぜ。」
「嫌、お主には作戦に失敗した時の余の始末を頼む。」