12月30日 夜
黒の高級車に変身したバティンさんに送られた先は、ダイエットインストラクターの曽根先生のマンションだった。
勿論、これは人間界で生活する為の仮の姿。
「ベルゼバブ、天界から帰って直ぐに済まないな。」
「いいのよ、サタン様。
それよりも移動中に更に更新されてたわ。
これを見て。」
天使も悪魔も人間も、今回の件を全面解決する為に集合していた。
「明日のASMOのライヴに行ける人だけは真の意味で『選ばれし者』です。つまりノアの方舟に乗れた側の人間ですよ。
しかし、ネット界の救世主を自認する私は、皆様にASMOのライヴのネット中継を観れる様にすることを約束致します。
12月31日のライヴ開始17:00に、下記アドレスに下記パスワードを入力すれば、ドームで歌うASMOの姿が観れることを約束しましょう。
そしてライヴ終了後には、閲覧した貴方は『生まれ変わった自分』になっていることを約束します。
私は貴方達の味方ですから。
なお、引き続き運営側の公式なネット中継を妨害した悪質ハッカーには、私が正義の裁きを降します。
それにつきましてはまた更新させていただきます。
瑚」
これが新しく更新された内容だった。
読み終わった星明が怒りに震えているのがわかった。
「何故だ！？アガレスはベルゼバブが処刑したのに何故？」
「落ち着いて、星明。」
「奈々子さん、はじめまして。
私がそのASMOことアスモデウスです。
ベルフェゴールことマネージャーの鐘田剛と二人で、運営側のアクセスを解析してたのですが、やはりネット中継を妨害したハッカーは「珊瑚」の自作自演の可能性が高いです。」
「ただのシステムトラブルと思ってたのに、まさか久美子さんや奈々子さんのページだけでなく、僕達のASMOにまで…。」
「確かに一部のネットアイドルやそれのアンチファンよりも、世界的アイドルを相手にする方が遥かに規模が大きいですね。
まさか最初からそれが目的で…？
しかし、さっきから奴は珊瑚でなく、瑚と打ち間違えが続いてますね。『珊』が抜けてますね。」
「まて、ミカエル殿、今何と？『サンが抜けてゴ』だけ…？確かにソロモンNo.3ウォサゴは爆死し、アガレスはベルゼバブに首を斬り落とされたが…『瑚』は『五』でロストファイブ最後の悪魔、ソロモンNo.5『工芸と秘密を暴く悪魔』マルバスがまだ残っている！卑小な悪魔と軽視してたが真の黒幕か？」