「『佐田くん』、続きはこの前の店で。
バイト、頑張ってください。
では、自分はまだ残りの配達がありますので…。」
奈々子殿に怪しまれないように、大天使ミカエルこと、マイク赤羽根を見送り、何事も無いように仕事を続ける。
閉店し、奈々子殿が施錠し、それぞれの帰路に着く。
「じゃ、またね、お疲れさまでした~。
メリークリスマス♪」
「…お疲れさまでした。
気をつけて。」
去っていく彼女の後ろ姿。
振り向きもしないその姿が、今はまだ、余と奈々子殿が特別な間柄でないことを改めて証明した。
12月24日の今日でも、例の店は相変わらずの客層だった。
今日は余とミカエル殿の二人。
会話は前置きなく本題に入った。
「小心者のウォレフォルが反転契約なんて大それた犯罪を冒すわけがなかろう?
本当にロスト・ファイブが暗躍しているなら、天上界は囚人の管理もまともに出来んのか?」
炒飯をかき込みながら、不機嫌そうに問い質すサタン。
餃子の味に感嘆しながら返答するミカエル。
天界と魔界の大物二人が、人間の男性としてラーメン屋で密談してる姿は、部下の士気に関わるかもしれないが、監視されてないことをサタンは願うのであった。
「嘘と言語学の悪魔・アガレスは今も服役中です。
黒幕はまだわかりません。
但しロスト・ファイブが連携している可能性は高いです。」
「アガレスめ!前の大戦でどれほどの人間が…。」
第二次世界大戦は名誉欲に駆られた一人の男が、ハーケンクロイツの紋章に操られ、世界中の人間の命を巻き込んだ。
言葉巧みに反転契約を唆した主犯はアガレス。
魔界で余に楯突く反乱分子、ロスト・ファイブ。
68年の時を経て力を盛り返したか?
だがリーダー格のアガレスが服役中なら誰が?
***
あくまでメモなんだからね!
ロストファイブとは、ソロモンNo.2~6の五人の悪魔を指します。
ソロモンの悪魔はユダヤ教。
七つの大罪はキリスト教の為に序列が六大魔王と重複したソロモンの悪魔は当然サタン様に不満があります。
副将軍にてソロモンNo.1のベルゼバブは懐柔に走りましたが、サタン様に臣下の礼はとらず、2~6は欠番扱いとなり、事実上、七つの大罪の魔王の次に、ソロモンNo.8から始まるようになりました。
2.アガレス
3.ウォサゴ(簡易召喚と魔界の広報)
4.サミジーナ(降霊と夢見)
5.マルバス(工芸と秘密暴露)
6.ウォレフォル(盗み)