魔界にて
「ベルフェゴールちゃんは新入りの魔王だから知らないかな?
6人の父と3人の母。同じく3人の姉と1人恋人に育てられたのはだ~れだ?」
「ごめんなさい、ベルゼバブ様。
実はこの前、ASMOちから聞いたんです。」
「やられた、あの娘め~!」
「サタン様…いえ、ルシファー様のことなんですよね…。
9人の天使に造られたルシファー様は、アークエンジェル3人とともに、天井界に名を轟かせる、それは美しい4姉妹だった。」
「そして『恋人』は勿論、ミカちんよ♪」
「ベルゼバブ様!
愛し合っていたルシファー様とミカエル様は、何故、剣を交わす結果になったのですか?」
「ミカちんはねぇ、自らの剣でルシファー様を斬らないと、ヤハウェから逃れられないと思ったからよ。
それだけじゃないわ。
ベルフェゴールちゃん、ルシファー様の担当の罪は?」
「そんなの下級悪魔でも知ってますよ!第六の罪『傲慢』です。
だからルシファー様は最も傲慢でない存在で、最も傲慢なヤハウェが許せなかった!」
「その通りよ。でもね、『職務』や『戦争』の中でこそ、ルシファー様やミカちんみたいな人格は賞賛されても、個人の色恋としては、面倒くさいこと、この上ないのよ。」
「ミカエル様が面倒くさい性格なのは、この魔界まで何度もルシファー様に面会を求めて足を運ぶ様子でわかりますが…ルシファー様も面倒くさい性格なんですか?」
「『最も傲慢でない』で恋愛が成功すると思う?」
「…確かに恋する人の為なら、ある程度の見栄やハッタリや、ワガママも…。
時には自己中心的に守ったり、守られたりするのも嬉しいでしょう?」
「優等生の答え♪ベルフェゴールちゃん。
生真面目過ぎるミカちんとルシファー様は、同じアークエンジェルのガブリエルが、敵であるヤハウェを慕ってたこと、そしてウルエルがミカちんを慕ってたこと、ラファエルはヤハウェが造った人間達を誰よりも愛してたことで遠慮したのよ。」
「だからといって愛するルシファー様の右腕を切り落として、アビス(奈落)に堕とすなんて…。」
「謀反が起きたことで…ヤハウェは真っ先に、ルシファー様を造った残り9人の天使の命を握ったからよ!」
「そんな!それじゃミカエル様は仕方なく…。」
「何千年もアビスに堕ちても、ルシファー様を『塵と灰』にさせたくなかったからよ。」
「それで、ルシファー様はずっとミカエル様に裏切られたと…。」