あくまで魔が挿しただけなんだからね!4 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

バイト初日の正午
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「じゃあ、佐田くんからお昼入って~。
休憩終わったらレジ打ちを少しずつ憶えましょうか?」

「はい、それではお先に休憩をいただきます…。」

「店長、佐田くんって、力仕事だけでなく、憶えも早いし、テキパキしてて頼りになりますね。」
「奈々ちゃんもそう思う?面接の時から『この子は!』って直感を感じたの。」

「でも、何だか疲れた感じだったみたいね…。
緊張してるだけならいいけど…。」
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事務所兼休憩室

「……ふぅ。」

ロッカーの中のカバンから水を取り出し、一息で飲めるだけ飲む佐田星明こと大魔王サタン。
生涯初のアルバイトは順調な滑り出しに周囲の目は映ったが…。

「何だこの脆弱さは!!これが人間か!?何という脆い肉体なのだ!
そして、空腹、渇き、疲労、暑さに寒さ!ヤハウェはどれほど人間を過酷に取り扱うつもりだ!?」

鉄仮面を装い、何とか昼休憩まで持ちこたえた大魔王サタン。
慣れぬ人間の肉体と人間の社会に戸惑いはあって当然だが、疲労の原因はそればかりではない。

「ええぃ、ベルゼバブめ、『何が最高の人間の肉体をご用意しました』だ。適当なチューニングをしおって!
余の魔力を封じ込めたつもりでも、身体能力が人間サイズに合致しておらぬではないか。
午前中に何度も木彫りの仏像を握り潰しそうになったではないか?
まぁ、霊験高い仏像は個人的に破壊したくなるがな…。
余がこの程度の仕事が出来ぬとあらば、落合奈々子殿が余に慕情を抱くなど夢のまた夢!
もっとパワーを抑えて、スタミナを増強せねば…。
そしてこの空腹感…。
人間界の労働と報酬の収支のアンバランスさは何だ?
余の空腹と味覚を満たす食事を摂ろうとすれば、この店の時給と労働時間では足りなさ過ぎる!
人間とは…日々をこのようなことにのみ費やし、宵を迎えるのか…?
解せぬ…。」

※あくまでメモなんだからね!

悪魔は人間に召喚され、契約を交わすことで悪魔として実体化し、魔力を発揮出来ます。
契約せずに人間界に降臨するには、人間に変身するしかありません。
しかし、魔界一の魔力を誇るサタンが人間化すると膨大な魔力を封じ込めるのに力を費やし、酷く疲れやすくなります。スポーツカーで低速運転してエンジンを傷めるようなものです。

なお、サタン様は個人的に仏教、仏像が嫌いです。
工場で造られた物は平気ですが、稀に仏師が精魂籠めた力作には目眩がします。