私は賢司くんと燿子さんとは違う塾に通ってるし、私は北町在住で、二人は南町の住人。
せっかく、今日はカールクリラノースくんの忠告通り、「アウターゾーン」の知識をチャージして楽しく賢司くんとお話出来たんだから、放課後ももっと仲良くしなきゃ!
二人が塾に行くまで早く南町公園に行かなきゃ…。
「お嬢ちゃん、公園に着いたとして、何を話すか決めてんのかい?」
白いマルチーズに蝙蝠の羽根の生えた、「私の契約悪魔」のカールクリラノースくんが飛びながら話かけます。
「それを決めるのが貴方の役目でしょう?何を憶えたらいいの?」
「未来は『海』に関する文献を示してるな、だが『干渉』が酷くて特定出来ん。何故かジャンプの漫画がしつこく映る。」
「海でジャンプ?ワンピースなら、知ってます。」
さっきからカールクリラノースくんが繰り返して言う「干渉」。悪魔の力が十分に発揮出来ないのって、まさか燿子さんも?
いえ、あり得ないわ。
私が燿子さんを羨ましく思っても、燿子さんが私なんかに悪魔を仕向けるわけないわ!
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「あれ?燿子ちゃんは今日のお願いはしないの?」
「う、うん。私はいいの…。」
「ふ~ん、変なの。てっきり今日もアニメキャラを出して貰うと思ってたのに。
確かに今日は塾だから、途中でイケメンと離れるのが嫌なんだろうな。」
「賢司よ、燿子のことよりお前の願いは?時間が無いのじゃろう?」
「うん、僕も無闇にサミアちゃんの魔法に頼るよりも、サミアちゃん自身について聞きたいんだ。
ねぇ、今日はサミアちゃんのその格好について教えてもらっていい?
そのマント?ローブ?と帽子はやっぱり水を防ぐ為?」
「ほう、そこまで調べたか…。確かに高温多湿で梅雨や台風がある日本で暮らすのは大変じゃ。サミアッドは水に濡れると死んでしまうからのう。」
「そうなの?」
燿子ちゃんもその言葉に驚いた。
「勿論、マントと帽子だけで物理的に雨や水を防いでるわけではない。
ワシは『水神』の知り合いから、このローブと帽子によって守ってもらってるのじゃ。」
「すご~い!サミアちゃんって、神様にも知り合いが居るの?」
「あぁ、勿論、日本に来た時は知らなかったわい。
『日本の水害』について詳しく教えてくれて、『契約』を勧めてくれたお節介な新聞記者が昔居たんじゃ。」
「それって日本が明治の時の…?凄い!大人でもサミアちゃんが見える人居たんだ!」続。