それは園児にもわかることでした。
「これはハロウィンパーティーの余興ではない。」
「今日が世界最後の日かもしれない。」
と。
変身した私達は、生徒と園児を、オーディーンのフレイアから降り注がれる雷から守るのに精一杯だった。
総司令マリア(本名は啓示天使ガブリエル)はこのタイミングで陣痛に苦しみ、同じく大天使のアイちゃん(守護天使ラファエル)も、マキちゃん(慈悲天使ウリエル)もマリアの護衛に徹していた。
同じく魔王軍のナイトメア将軍(人間名・真田正行)も、リビドー軍曹(相良優矢)もインモラル大魔王(武田輝)も妊婦の恵さんを守るのに必死だった。
だが、守られるべき恵さんはあまりに人間過ぎた。
「もう…やめてください。
これが神様の命令なら…従います。
だからもう、私の大切な人を傷つけないでください。
私はどうなっても構いません。
だからお願いです!
この子が生まれるまで待ってください。
その後は私の命でもなんでも…。」
雷の直撃を避け続けても、破壊された建造物の破片や、対流した電気の放電で、誰しもが傷ついていた。
だが、不思議と誰もがこの状況を冷静に受け入れていた。
それは人間なら誰しも「審判の日」を理解してるからだろうか?
「人間の女よ。何を勘違いしている?
私の目的はお前ではなく、お前が産む子、ユダだ。
神と神の子に背いた逆賊の転生を許すわけにはいかない。」
「待ちなさい、フレイア!その役目は私が!我が子ジーザスを殺された2000年の恨みは私が…。」
陣痛に苦しみながらもマリア(ガブリエル)はまだ恵さんとその子供への恨みを捨ててなかった。
「ガブリエル。お前から先に葬ってもいいんだぞ?
安心しろ。お前が死ねばトオルさまは私が毎晩面倒を見てあげる。」
「絶望」
園児の頭にさえそれは過ったかもしれない。
だが…。
この中で一人、守るべき者のない、一匹狼のデザイアは違った。
「何が理性と秩序に守られた天上界よ!
フレイア、あんたの横恋慕の巻き添えで死んでられないのよ!
惚れた上司の奥さんを、職務に乗じて偽装殺人しようなんて、土曜ワ●ドや、火●サスじゃあるまいし!
将軍!協力して!」
恵さんを守ってたナイトメア将軍に指示を出すデザイア。
「あんたの転移魔法と私の重力魔法で、学園丸ごと亜空間に運んで、落雷を封じるわ!」
「合体魔法か。夜の合体も大歓迎ですよ?」
「嫌よ、あんた早いし!」