イサクの双子の息子(創世記27章)
アブラハムの息子イサクは40で従妹のリベカと結婚し、双子の男の子を育んだ。
兄は毛深く狩猟好きなエサウ。
弟は知的なインドア派ヤコブ。
老い先短く、視力を失った父イサクは、相続権を当然の如く長男エサウに譲ることにした。
「エサウよ、私の命はもう長くない。
相続権を譲るから祝いの鹿肉を獲ってきなさい。」
喜び勇んで狩りに出る長男エサウ。
しかし、面白くないのは母リベカだ。
リベカは毛深い長男エサウを忌み嫌い、次男のヤコブばかりを溺愛した。
跡継ぎには私が愛するヤコブにしたい。
リベカはある策略を立てた。
「ヤコブちゃん。
街へ行って鹿肉を買ってきなさい。
エサウになりすまして相続権を奪うのです。」
「父さん、ただいま。」
父イサクが目が見えないことを利用し、兄の声真似をするヤコブ。
ご丁寧に羊の毛を刈り、肌の手触りまで毛深い兄エサウの真似をする念の入れよう。
「おぉ、エサウよ、我が子よ。
お前を祝福しよう。
全てをお前に受け渡そう。」
冷や汗を流しながら、表情が緊張から安堵に変わる次男ヤコブ。
そこにやっと兄エサウが帰宅する。
「あら、遅かったわねエサウ。
父さんはたった今、貴方ではなく、弟のヤコブに相続権を譲ったわ!」
「ヤコブ…貴様…!」
怒り狂うエサウの鬼気迫る殺意は謀略の母リベカの想定外だったかもしれない。
「ヤコブちゃん、逃げて!
私の弟が住むハランの地なら安心よ。」
どこまでも追い詰める兄エサウに対して、逃げるヤコブは、祖父アブラハムの故郷ハランにたどり着くしか道はなかった。
空腹と暑さ、寒さに苦しみ、死を覚悟したヤコブ。
だがその時、ヤコブの前に天使の階段「ジェイコブス・ラダー」が舞い降りた!
「私はヤハウェだ。
くじけるな。
私はお前を見捨てない。
この地をお前とその子孫に与えよう。」
「ヤハウェは兄でなく俺に微笑んだ!」
歓喜するヤコブは無事にハランの地にたどり着きました。
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はい、またしてもヤハウェの好き勝手です(涙)。
謀略を用いても祝福されるのは、エサウを「狩猟民族」の差別として遊牧の優越を唱えてるかと。
そして、着の身着のまま逃げ出したヤコブが祝福されることは富裕層の「喜捨」を暗示してるかと思います。(実際にヤコブは財産相続の恩恵に預かる暇もない)
イスラム教やキリスト教の寄付の文化の下地と思います。