テッペキ!ハイスクール 9 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

オフェンス
左ウイング 柳生恵里菜(二年)
右ウイング 島敦子(三年)
センターフォワード 中島恵(三年・主将)
第一ボランチ 伊東茉奈(二年)
第二ボランチ 高坂瑞穂(三年)

ディフェンス

守備的ミッドフィルダー 山名理恵(三年)
右サイドバック 大谷美空(一年)
リベロ 最上由紀(三年)
ストッパー 南部彩(三年)
左サイドバック 伊達さやか(一年)
ゴールキーパー 結城翔子(二年)


新入生が入り、退部者が一段落した中で、初の本格的なフォーメーション練習だ。
高坂は二年生の自覚を促したい意図があるようだ。
夏が終われば、俺達三年生は引退だからな…。
いつもの様に審判をする俺。
ルールは簡単。
オフェンスがゴールを決めるか、ディフェンスがハーフラインまでボールを進めるかだ。

大方の予想通り、高坂は相棒の茉奈ちゃんにボールを預けた。
素早く「中盤の番犬」山名ちゃんがボールを狩りに来る。
茉奈ちゃんは巧みに捌いて、最前線の中島さんにパスしたが…。

「ちょっと茉奈ちゃん!
あたしは南部ちゃんにマークされてんだから、こんな素直なパスじゃ突破出来ないよ!」

高坂からボールを奪ったことも、スウェーデン代表のフレイアさんを封じたこともある南部ちゃんに、中島さんが単独突破を試みるのは無理がある。

「仕方ないよ、山名先輩のプレスが激しくて~。」

「自分はこれでも、入部してすぐは中島さんに簡単に突破されてました。
身体能力と球技は別物です。
ましてや守備は経験が必要です。」

「あたしはソフトで四番打ってて、スポーツに自信あったけど、瑞穂と南部ちゃんには驚かされてばかりよ!」

「主将の統率が無ければ自分達は未だにバラバラだったと存じます!
キィエーイ!」

南部ちゃんの激しいタックルは中島さんからボールを奪ったが、南部ちゃんもコントロールを失い、こぼれ球は…。

「伊達ちゃん、クリア!」

キーパーの結城さんから指示が飛ぶ。
俺と榎田で育てた結城さんの成長ぶりに泣けてくる瞬間だ。
でも…。

「ええと、クリアって…?」

そこからかよ!
伊達ちゃん、ホントに何で入部したんだよ!

「とにかく前に思いっきり蹴って!
それで勝ちだから!」

「は、はい!」

慌てて蹴った伊達ちゃんのボールは…。

敵方の高坂の足元にぴったり収まる「ナイス」パスだった。

「…まぁ、空振りでは無かっただけは褒めねばなぁ…。」