
コペンハーゲン図書館にある銅像です。
来る五月五日はセーレン・キルケゴールの生誕200周年になります。
この日を読者様とお祝いがしたいと思っていますが、何よりもまずはキルケゴールの思想と著作に触れて頂くのが最優先と考えました。
過去ログに「キルケゴール」及び「キルケゴールのユーモア」として120件以上の記事をアップしています。
しかし、彼を知って頂くのに簡単な方法として彼の著作、「誘惑者の日記」をSPA-k流に訳して、哲学用語の抜粋よりも恋愛文学に重点を置いて書いていこうと思います。
1842年の著作を私なりの解釈で書き綴ることをどうぞお許し下さいませ。
誘惑者の日記は、婚約者レギーネとの出会いを記録した自伝的作品ですが、途中に盛り込まれた彼の独特の恋愛観が秀逸です。
取り分け町で偶然居合わせた女性との身近な触れ合いを綴った小編は『萌え』を意識してたとしか思えません。
第一話 馬車
(注・過去ログと重複した内容です。)
ご用心!ご用心!若い娘さんよ、ご用心。
お嬢様方は馬車から降りる時はご用心。
馬車の階段は特に不安定で、しかも長いドレスのスカートでは男以上に足下が見えない。
昼間の移動ならまだしも、夜のお出かけは特にご用心!
衣装を傷つけず、転倒を防ぐ為には御者の手を借りるしかない。
しかもほとんど御者に抱き付くようにして階段を降りるより他にない。
僕はそれがしたくて本気で御者か従者の勤め口を探したくらいだよ(笑)。
著作活動に親戚の遺産が十分にあるんだけどね(笑)。
でもお嬢さん、馬車の階段が怖いからって勢いをつけて飛び降りてはいけませんよ。
御者や従者が貴女の身体を受け止められるとは限りませんよ。
不安定な馬車の階段を上手に降りるには、
「素早く反対の足を出す」
これしかないのです。
あなたの足場がちゃんとあることを、世間で試して見て下さい。
なるほど危険を伴う娘さん達の馬車の移動は、かくなる理由で
「馬車から降りずに用を済ます。」
という現象をもたらすわけか。
従者と小間使いで用は足りるにせよ、これでは何もならない。
正に地に足が着いていないではないか。
セーレン・キルケゴール原作 脚本SPA-k
