思えば９月。真田とのPK戦に敗れ、自信を失いかけてた私に気遣って勝負を挑んできたのは武田と榎田だったな…。
皆を如何に指導するかだけを考えてた私だったが、私は…守られていたのだな…。
「高坂先輩、気楽に行きましょう！」
小菅…。
「試合中のPKは止められてもプレイ続行ですから、弾かれても俺が直ぐにダッシュして押し込んでやりますよ！」
相良…。
あぁ、お前達は私よりも年下なのにいつからそんなに大人の顔を…。
お前達の成長だけが楽しみだったのに、知らぬ間に私の手を離れて行ってたのだな…。
そして片倉…。
ピッチの外でただ静かに微笑んでくれるお前が居たから私は今日忌まわしいこのピッチに立てたんだぞ…。
お前は傷ついた私にああしろとも、こうしろとも言わずにただ微笑みながら抱き締めてくれた…。
独りじゃないことがこんなに温かいとは思わなかったぞ…。
きっと片倉には片倉の気持ちがあり、私は特殊な環境での特殊な熱病にうなされてるだけかもしれない…。
でも…。
今は片倉が好きだ！
あぁ、心臓は高鳴り、涙で敵ゴールがしっかり見えない…。
だが決める！
♪
みんな幸せそうに愛を語る
Love is Dead
Sun is Dead
Air is Dead どうして？ 気付かない？
全て無くなってしまいそうなのに
I'm not inclined play with my friend
世界中検討違いの
情報をばらまいてるよ
あぁ 君さえも解ってくれないんだね
Sky is Dead
Sea is Dead
Earth is Dead 美しいあなたへ
僕はもう何もしてあげられないんだよ
賽は投げられた
♪
L'Arc～en～Ciel
「賽は投げられた」より
「ピッピッ～！」
「入ったー！
高坂先輩凄～い！」
やったぞ！
右足で勢いよくゴール右隅に決まった！
昨日私がループシュートを決めたから、緩いシュートでタイミングを外すと思ってたのだろう。
逆に力のあるシュートを叩きこんでやったぞ！
片倉、片倉、お前のおかげだ！
これで私は悪夢を払拭できた！
真っ先にお前に抱きつきたくて、一直線にお前を目掛けてピッチの外に飛び出したのに…。
「おめでとう、信じてたよ。」なんてその声と微笑みで言われたら…もう勢いは止まらないではないか…。
口唇を奪ってゴメン。
後でいっぱい叱ってくれ