「春の猫」様とのコラボです
「えいっ!」
あぁ、また外しちゃった。
日本にはバスケットゴールがある公園なんて少ないから、ここは私のお気に入りの場所。
嫌なこと、不安なことがあると私はいつもこの公園のバスケットゴールに向かってスリーポイントシュートを放ち続けていた。
何が嫌で何が不安かって?
去年の私なら99%失恋のことだったと思います。
「貴史のバカヤロー!」
って日がくれるまで、シュートしてたと思います。
だからここは私のお気に入りの場所。
でも、私だけのお気に入りの場所でもない。
「あれ?お姉さんだー!
久しぶりですね?
また誰かにフラレて憂さ晴らしにスリーポイントシュートですか?」
「ホントに久しぶりね、イケメン少年くん。
でも、失礼だぞ!
これでも彼氏出来ました!」
この公園のバスケットゴールがきっかけで知り合った、まだ中学生のイケメン少年くん。
私は元・バスケ部だが彼は現役だ。
男性的でたくましく、頼りがいがありそうな雰囲気だが、恋に悩む姿は私と同じだ。
そう、だから私達は親しくなれた。
「え~、やったじゃないですか!
おめでとうございます。
じゃあ、今日は何でここに?
しかもシュートフォームがボロボロでよっぽどストレス溜めてません?」
遠慮しない物言いは中学生なのか彼の個性か?
「さすが現役バスケ部員。
新入生の気持ちが上手く掴めなくてね~。余計にストレス溜めそうだったけど…。でもキミの顔見たら落ち着いたわ。
ありがとう。
で、キミはどうなの?」
「やっ、それが実はつい最近、俺も付き合うことになって…。」
「やったじゃない!遂にあの子と付き合う決心したか!
おめでとう!
じゃあ、私達両方に恋人が出来て、今日ここで再会したってことは…。」
「はい、約束を果たす時、そして次の約束をする時です。」
そう、恋に悩むお互いを励ましあった『公園のバスケ仲間』の約束。
それは…。
「両方に恋人が出来たらお互いの名前を名乗る。
そしてお互いの恋人を連れて4人でバスケをする。」
「何か…照れるね。
柳生恵里菜です。」
「うわぁ、何かイメージにしっくり来ますね。
高藤海陽です。」
「うん、なんかわかる(笑)。
でも、4人で会う約束はしないでいようよ?」
「そうですね。きっと今日みたいに偶然4人で会えるかもしれませんよね。」
「ええ、また公園の桜が導いてくれるわ。」
(終)