二日目 夜 602号室
「絶対無理ですー!」
ええい、もう。
全く三好先生は次から次へと奇想天外な思いつきを…。
「真樹ちゃん、私は部屋から一歩も出ないです。
行くなら真樹ちゃんだけで行けばいいです!」
「まぁ、愛ちゃんがそこまで言うなら…。
でも修学旅行みたいで楽しそうじゃない?
とにかく見に行くだけ行ってみようよ!」
「あぁ、引っ張るなです!」
9階 特大フィットネスルーム
「これでラストだ。」
「申し訳ございません、お客様に手伝って頂きまして。」
「いいって。
突然無茶な注文した俺達が悪いんだし。」
9階に着くと、そこには手際よく作業する武田主将と、男子部員が…。
「どう、愛ちゃん?」
「や、やっぱり無理です、は、破廉恥ですー!」
フィットネスルーム内はヨガやエアロビクスをする為にだだっ広い床がありました。
そしてその床に敷き詰められた男女の部員全員分の日本式の布団…!
そうです、心身ともに深い傷を負った高坂先輩は、『自分を助けてくれた片倉先輩が居ないと怖くて寝れない』、と三好先生にお願いしたです。
しかし、同じ部屋に泊めるわけにもいかず…。
三好先生は、このフィットネスルームに男女全員を雑魚寝することを思いついたです。
「名付けて、『赤信号みんなで渡れば怖くない』作戦よ!」
そこには黒に紫のラインが入ったジャージをラフに着こなした三好先生が居たです。
チャックをもっと上まで上げないと胸元が…。
いえ、そんなことより…。
「三好先生、勝ち誇って言うことじゃないですー!
男女全員がひとつの部屋で寝るなど、何と言う破廉恥な…。
もし、間違いが起きたら…。」
「大丈夫です。自分と三好先生は眠っていても『気』が読めます。
不埒な行為をする者は成敗致します!」
「南部先輩はどこの忍者ですかー!
無理です!うら若き乙女のすることではないです!
真樹ちゃん一緒に帰るです。」
※小声で(三好先生、宇都宮さんと私は…その…男子とそういう仲になった経験がないのでわかってほしいです。)
(里見さん、貴女だけ居ないってなると高坂さんも寂しがるけど仕方ないわね。無理強いはしないわ。
でもね、宇都宮さんは経験あるわよ、知らなかったの?)
(…え…?)
(私、今はフリーだけど、中学の時に彼氏はいたよ。
皆一緒に寝るなんて楽そうじゃん)
「(二重の意味で)真樹ちゃんの裏切り者ー!!」
続