合宿二日目 夕方 ホテル内レストラン
夕食は名物のハンバーグステーキを食べながらの作戦会議になった。
「フレイア・ラーション。
U-15の日本代表に私が呼ばれた時に彼女に会った…。
初めて私が世界の広さを痛感した選手だよ。
私はミッドフィルダーが本職だが、フレイアは生粋の点取り屋だ…。
あの時…スウェーデン代表との試合は5-5私自身がハットトリックを達成してもフレイア一人に5点取られたよ…。」
強敵が居ることは悪くない!
それよりも高坂先輩に覇気が戻ってきたことが何よりだよ。
「フン、お兄様め…。大学生程度では勝負にならんと私は事前に言っておいたが、まさかこんな根回しを…。
面白い…。」
それでも高坂先輩はこの夕食でも片倉先輩にべったりだ。
カップルというよりは兄妹、いや父娘のようだ…。
やはりそんなすぐに恐い体験が払拭出来ないよな…。
「ねぇ、優矢くん。そのフレイアさんって、このベルリンの地元クラブチームの支配下選手なんでしょう?」
「あぁ、あとの二人、イザベラとロロってのもそうさ。
海外のクラブチームが外国人選手をたくさん抱えてるのは普通さ。」
「じゃあ、明日の試合ってもしかしたら…。」
恵里菜に言われて今頃気付いた!
そうだ!FCベルリンがユースとはいえ、選手を貸すんだ。
その目的は…。
『高坂先輩のスカウト!』
そういえば俺達は高坂先輩が転校する前の話を何も知らない…。
そもそも何故女子サッカー部のないただの公立高校に…?
「イザベラちゃんにロロちゃんも要注意だよ~」
武田主将が全員に注意する。さすがは主将。
「あのイザベラちゃんのプロポーション半端ないよねー!」
「いや、ロロちゃんのゴツい体格もびっくりしたけど、帰り際に『私、勝つ。村に電気通る』って笑いそうだけど、笑っちゃ駄目だよね~。」
賑やかな笑いの下、ディナーは終了したが…。
ホテル内ロビー
「おいしかったね、優矢くん。」
「あぁ、やっとドイツに来たって喜び実感できたな。
あっ、高坂先輩と三好先生…。」
立ち聞きは良くないけど…。
「先生、無理を承知で言う。
今夜は片倉と一緒に寝たいんだ…。」
高坂先輩それは無茶だよ!
「高坂さん、気持ちはわかるけど、生徒を預かる身として『はい』とホテルの同じ部屋に男女を泊まらせれないわ…。
ただ…方法が無いわけじゃないわ♪
ここは全員の協力が必要ね。」
続く