「これくらいなら、いつも弟や妹に作ってるやつの応用が効くからさ。」
ベルリン大学で講師のアヴィさんを招いての調理実習は、優矢くんの独壇場となりました。
「本当に美味しいよ、相良くん。アヴィにもいい刺激になったみたいだよ。」
無表情で目に精気がないアルバートさんが今日初めて笑顔を見せてました。
常に満面の笑顔を魅せる漣さんとは一味違った魅力ですね。
私はどちらかといえば漣さんの方が…。いえ、二択の場合ですよ。
でも…。
「その次はミス・南部に、ミス内藤かな?二人ともグループの中心になって手際良く調理してたね。
見事でした。」
「さすが私の京子さんです。
アルバート、京子さんにはノータッチですよ!」
「漣、それは僕としたことが失敬…。」
「誰が貴方のモノですか!
私はまー君のモノです!
アルバートさんも漣さんの言うことを疑って下さい!」
うわぁ、漣さんたらまだ京子さんを…。ホントにしつこい…。
「ふ~ん、この子が漣の『愛しの』京子ちゃんかぁ。
ごめんなさい、漣には別室で少~し躾を…。アヴィとアルバートは授業続けて。
いいでしょ?瑞穂ちゃん、まり姐?」
『許す!いや、寧ろ頼む!』
男女ともに全会一致で漣さんは強制退場になりました。
婚約者の柚子葉さんが頼りになります。
「京子は元々器用だが、南部の料理上手はミスではなく、ミセスの経験の賜物です、アヴィ先生!」
「高坂さん、そんな…自分はただ蒼磨様の身の回りのお世話を…。」
ミセスと言われ、赤面しながら否定する南部先輩は、照れながら喜んでるようでした。
「え~?その若さでもう人妻なの?」
「アヴィ先生、どうしてそこだけ都合良く日本語を間違うのですかー?
私はただお仕えしてただけです!」
「人妻ってえっちぃ響きがするね。」
「あら、彩ったら恋人同士よりも以前の主従関係がいいなんてオ・ト・ナ♪」
最近になって由紀姉も南部先輩をいじり始め、一年も由紀姉と呼んでます。
「シュジュウカンケイ?それならわかるよー!
アルバートにえすえむぷれいで教わったもん♪
私はえむ担当だよ。ミス南部はどっち役?」
「……。」
「グハ。」
あっ、男子が全員気絶しました。。でも何だか幸せそう。
後で優矢くんに聞きます。
「私はSでもMでもありません!
どうせ蒼磨様はノーマルにしか私を攻めてくれませんから!」
「……。」
「ウワァ~ン」
続