合宿初日:夜
「何で大浴場がないんだー!
女子との合宿の最大の楽しみだろー!
榎田、来年には改装しといてくれ~!」
506号室に武田の叫びが響き渡った。
「ここはドイツのホテルなんだから仕方ないだろ!
それに俺達は三年になったら夏には引退なんだ。」
もっともらしいことを榎田に言われた。
そう夏が来れば俺達は引退。
受験に就職にプロテスト。
来年の今ごろ俺達は俺達のままで居られるのだろうか?
異国の夜は過去を振り返り、未来を描くには最適かもしれない。
「榎田、俺は恵の居る6階に行く!」
「止めろ!どうせ真理亜に阻止されて朝までロビーで正座させられるぞ!」
「じゃあ、榎田は三好先生の部屋に行きたくないのかよ?」
「そりゃ、行きたいけど、彼女なしの男子や部員以外の彼氏が居る女子に悪いだろ!
それに真理亜は俺の婚約者である前に教師だ!
まぁ、せいぜいロビーか庭に呼び出して『おやすみ』を告げるくらいにしときな。」
早速内線を使う武田。
「相良、お前も柳生ちゃんに連絡しとけよ。」
「は、はい、そうですね。
でも先輩、この部屋割りって彼女持ちの僕たち4人が固められてるのも意図的ですが、女子も意図的な部屋割りですね。」
601号 三好真理亜
602号 高坂瑞穂 宇都宮真樹 里見愛
603号 内藤京子 南部彩 結城翔子
604号 最上由紀 柳生恵里菜 伊東茉奈
605号 中島恵 島敦子 山名理恵
501号 武田輝 真田正行 榎田徹 相良優矢
以下略
なんか…他の男子部員の扱いが酷いな…。
『では諸君、健闘を祈る。くれぐれも行き過ぎた行動や他の部員を心情を害さないこと。』
『了解』
「優矢くん、電話ありがとう…。なんか…ドキドキするね…。」
「うん、何かただのホテルの庭なのに…。
ベルリンの雰囲気が…恵里菜を何倍も可愛いく魅せるよ…。」
「優矢くん…。」
「恵里菜…。」
「私、幸せだよ。今日のキスを一生忘れない…。」
京子「まー君、大好き~!」
恵「ダーリン、夜のデートって、最高ね!愛してる!」
真理亜「もう、徹ったら…悪い子だわ…。このキスでちゃんと自分の部屋に戻って寝るのよ…。
お・や・す・み…。」
「ねぇ愛ちゃん、高坂先輩が部屋出たのって…。」
「自主トレしてるだけです。
真樹ちゃんは、同部屋だからと意識し過ぎです。」
「うん、落ち着け私」