キョクメン突破!~二人の理由 3 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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12月16日(日) 10:24

小管くんが敵の二人を引き付けることで、鳥居先輩は悠々と右サイドのライン際を駆け上がり、センタリングを上げた。

「武田だ!どうせ北条学園には武田しかいない!」

相手キーパーは前線に君臨する武田主将へのマークを指示したが、体を張り、誰よりも高く跳び、強烈に頭を振り抜いた!

ボールはゴール右隅に突き刺さり、キーパーは触れることも出来なかった。

「わかってても止められない。
それがこの俺、武田輝だ!」

「やったー!!」

「ダーリン最高!愛してる~!」

女子部の中島主将が歓喜の声を挙げる!
いいなぁ…。私もあんなにストレートに気持ちを伝えられたらな…。
武田主将は中島主将の支えがあるからあんなに活躍出来るの?
私は相良くんに何が…。

12月16日(日)11:05
後半に入っても、高坂先輩、真田先輩も特別な指示は出さなかった。
けど…。

「抜いたー!」

相良くんは特別に変わったわけじゃない。
ただ相手校の十河さんの守備が前半よりも遅れた気がする。

「柳生、よく観ておけ。1vs1で勝つのはサイドアタッカーの華だが、挑めばいいというものではない。『パスもある』と敵の頭にインプットされたことにより、読みが遅れ、後手に回るんだ。」

「小管くんの一本のパスが流れを変えたんですか?」

「その通りだ。そしてそのパスを引き出したのは相良が果敢に仕掛けたからだ。」

高坂先輩が相良くんを「このままでいい」
と言ってたのはそういう意味なんですね。

局面を突破した相良くんはペナルティエリアに侵入し、武田主将と見せかけて、走り込んできた小管くんにラストパスを送る。

小管くんの右足のシュートはキーパーの足に止められたが、こぼれ球を武田主将が冷静に押し込んだ。


12月16日(日)11:25
残り20分。選手交代が頻繁になる時間帯だ。

途中交代は惜しいけど、あれだけ走って活躍したなら、相良くんが降りるのも当然かなと思ったら…。

さっきまで指示を出してた真田先輩が出場することになった。

「榎田、約束だ。後半残り20分で二点差なら俺に出番くれってな。
今日も最高のセーブだったな。」

「お前の作戦がいいおかげに、今回から高坂ちゃんが加入したからな。
真田、お前は『世界一の控えキーパー』だよ。」

「嫌味か、このヤロー(笑)。」


「もう一点取るぞー!榎田との違い見せてやるよ!」