「そんな!私のこと好きって言ったのに!
初めて両想いと確信したのに!
10年も慕い続けた女性が居たなんて!」
「うん、柳生ちゃん、そこは何となくの雰囲気でさ…。」
「イヤ、柳生ちゃんの言う通りだ!
どんな過去があるにせよ、京子と柳生ちゃんにしたことを俺は許していない。
だから決着をつける。
ホラ、お兄さん起きろ、勝負の続きだ!」
俺が高坂のお兄さんを無理矢理に起こすと慌てて京子が詰め寄る。
「ちょっと、まー君もういいじゃない。」
「そうですよ、真田先輩。
私のことなんていいんです。」
「これは俺の勝負だ。」
「勝負って、『まー君が私以外の人にキスをしても愛を貫けるか?』ってバカげた問題でしょ?
ふーん、そんなに私以外とキスしたいんだ?
誰よ?瑞穂?山名さん?」
「落ち着け京子!俺にはちゃんと勝算がある。」
目を醒ました高坂のお兄さんが俺に話かける。
「まだクラクラしますね。
無理しないで下さい真田くん…。勝負に関係なく私は謝る気持ちは…。」
「いいや、俺はこの命題をクリアする。
榎田、シリアスエンドはお前に譲るからコメディな主役に暫く付き合え!」
「まー君、そんなに私以外とキスしたいの?」
京子の怒りが悲しみに変わりだした時、俺は…。
「ああ、この目の前に居る高坂漣さんとキスしたい!
貴方は確かに『内藤さん以外と』って言ったよな?
女性とは言っていない。
だから京子!お前を愛してるから漣兄さんと俺はキスをする。
さぁ、受け取ってくれ!」
嫌がる漣兄さんの肩を掴み、顔を寄せる。
「キャー、まさかのBL展開?カメラ、カメラー!」
「なるほど、その手があったかー!」
周囲が三好先生の悲しい話の雰囲気から一気に盛り上がる。
「まっ、待ってくだい真田くん…私はそんな条件は…。ち、近いです…。」
「俺は本気だ!選べ!お前自身が!」
まー君の口唇と漣さんの口唇が重なりそうになる寸前…!
「…わ、私の負け…です…。君とのキスだけは…。」
目には涙を浮かべる漣さん。
まー君の度胸とハッタリ勝ちみたいね♪
でも相変わらず無茶するなぁ…。
「わかればいい、とにかく京子と柳生ちゃんに謝って、それから我が部の伝統を…。
なぁ武田?」
「勿論だ!勝負に負けた奴はパンツ一枚でこの豪邸を走ってもらいますよ。」
「キャー!お兄さんの裸見たーい」
と盛り上がる女子達。
「仕方ありませんね」